私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」の第三弾は、rakumo(4060)です。rakumo(ラクモ)は、2022年8月12日の引け後に2022年12月期第2四半期の決算発表がありました。
本記事では、rakumo(ラクモ)の概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年8月時点のものです。
- ここがポイント
- rakumo(ラクモ)とは
- 2022年12月度第2四半期決算資料を読み解く
- ※rakumo「2022年12月度第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.17)
- 銘柄分析
- 10倍株探索条件の可否まとめ
- まとめ
- 【注意事項】
ここがポイント
- 企業向けに提供する勤怠管理やスケジューラー、決裁ワークフロー、経費精算などのクラウドツールを開発販売するSaaSサービスが事業の柱
- 2022年6月末に日報アプリを開発販売しているgamba社を買収。今年度は下期のみ業績に反映される。
- 2022年12月期の会社予想から増収率14.3%、増益率10.4%。ここ3年は成長が鈍化している。
- 2022年9月期第3四半期決算によると、会社予想に対して売上の進捗率は46.9%、経常利益の進捗40.6%。ともに昨年度の進捗率とほぼ同じ。また、会社計画は修正なし。
- 上期は、M&A費用(10.4百万円)が一時的な費用として支出しているため、営業利益は少し低くなっている。
rakumo(ラクモ)とは
最初にrakumo(ラクモ)がどのような会社かを簡単に解説します。
会社概要
法人向けに勤怠管理やスケジューラー、決裁ワークフロー、経費精算などのクラウドツールを開発販売するSaaSサービスが事業の柱。なお、これらのクラウドツールは、Google Workspaceやセールスフォースを業務基盤として利用している。他にもITオフショア開発(顧客企業のシステム開発業務を受託)、ソリューションサービス(SaaSサービスの導入支援、業務支援)提供。
- 設立年:2004年12月
- 上場年:2020年9月
- 業種分類:情報通信
- 決算:12月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://corporate.rakumo.com/company/
業績の推移
次にrakumoの業績推移を以下に示します。ここ3年の売上は、毎年20%前後の伸びを見せており、約1.8倍に成長しました。会社発表によると、2022年度は14.3%、増収する計画です。営業利益率も2021年度は23.6%、2022年度も22.5%と高水準を維持する予定です。
日報アプリを開発企業を買収
社内SNS型日報共有アプリを提供するgamba社を2022年6月末に買収しました。rakumoが提供するクラウドサービスとの相乗効果が期待されます。なお、業績については、2022年12月期第3四半期以降(下期)に反映されることになるので、2022年8月に発表した上期業績には含まれていません。
なお、gamba社は2021年10月期に「売上高:103百万円、営業利益:12百万円」でした。通期で寄与するようになれば、2022年の会社予想(1,100百万円)から考えると、1割程度の業績押上げが見込まれます。
2022年12月度第2四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月12日に発表されたrakumo(ラクモ)の2022年12月期第2四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年度上期決算は、会社予想に対して売上の進捗率は46.9%、営業利益の進捗率は40.6%でした。2021年度上期の売上高進捗率は45.5%、経常利益の進捗率は43.8%だったことから前年並みです。
※rakumo「2022年12月度第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.10)
売上も営業利益も進捗率は50%未満と少し低めではありますが、下期はgamba社が寄与すること、今期はM&A費用が一時的に計上することから、会社予想は達成できる見込みとのことです。
顧客の状況
顧客の状況ですが、ユニークユーザー数(ラクモ製品を使用している人の数)は、順調に伸びていますが、クライアント数の伸びが今年に入って鈍化しているように見えます。
※rakumo「2022年12月度第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.16)
※rakumo「2022年12月度第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.17)
ラクモとしては、今後の成長戦略の一つとしては、ユニークユーザー数の増加に加えて、1社あたりの販売額(グロスMRR)の拡充を狙っています。その戦略が功を奏しており、年々、グロースMRRが順調に伸びています。
※rakumo「2022年12月度第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.19)
なお、月次平均解約数は2018年4Q以降、一貫して1%未満を推移しており、安定しています。
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
rakumoのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:52.8億円
- 最低購入価格:92,800円
- PER:27.87倍
- PBR:5.58倍
- 配当:(2021)0円、(2022(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:64.0%
- 増収率:(2021)17.2%、(2022(予))14.3%
- 増益率:(2021)95.6%、(2022(予))10.4%
- 営業利益率:(2021)23.6%、(2022(予))22.5%
※2022年8月12日終値で算出しております。
10倍株の探索条件として、私が重要視している以下の4つの条件のうち、増収率のみ、満足していません。さきほど、銘柄の概要を紹介した際に業績推移を提示しましたが、ここ3年は増収率が23.8%→17.2%→14.3%(会社予想)と少しずつ落ちてきており、成長が鈍化してきています。この辺りは、M&Aしたgamba社の寄与がどこまでになるか、今後も同様の取り組みがあるかが、再度、成長率を押し上げられるかの鍵になると思われます。
- 増収率(20%以上)→ 2022年12月期予想は10.4%
- 営業利益率(10%以上)
- 時価総額(200億円未満)
- 上場から5年以内
同業他社(SaaSサービスを行っている企業)との比較結果を以下にまとめました。
※2022年8月12日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価チャート
以下に週足の株価チャートを示します。上場開始から下降トレンドを継続しており、2022年4月以降は公募価格である1250円を常に下回る状態です。ここ3か月は820円~1050円の間をレンジを推移しています。今回の決算結果をどのように市場が評価するのかが今後のトレンドの鍵になりそうです。
株主構成
株主構成は、以下のとおりです。創業者の橋本光伸社長が約20%の株を保有し、筆頭株主です。
- 御手洗大祐 99(17.4)
- 田近泰治 52 (9.2)
- アイ・マーキュリーキャピタル(株) 37 (6.5)
- (株)創世 36 (6.4)
- ノムラノミニーズ・オムニバスマージンキャッシュPB 27 (4.7)
10倍株探索条件の可否まとめ
rakumoは調べた結果、私が示す10倍株の探索条件のうち、増収率を除いた4つの条件をすべて満足してます。
- 増収率(20%以上):×
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、rakumo(ラクモ)の銘柄分析を行ってきました。
10倍株の投資先としては、増収率が14.3%と少し営業利益率が低いことから、魅力的とまでは言えません。なお、2021年度の進捗率とほぼ同じ水準で来ていることから、2022年度の会社計画どおりに進んでいるといえます。なお、クライアント数の伸びが鈍化していることから、今後の成長性は、M&Aの実施など起爆剤が必要になるのではないかと思いますので、ラクモの取り組みに注目していきたいと思います。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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