私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、WACUL(4173)です。WACULは、直近でいうと2022年7月12日の引け後に2023年度第1四半期の決算発表がありました。ちなみに、決算発表後の株価は少し下がりましたが、すでに戻ってきており、決算発表前から約3.5%上昇(7/12終値676円→9/1終値700円)していました。
本記事では、WACULの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- WACULは、WebサイトをAIが解析して評価して改善提案するサービスやSEO支援サービスなどをSaaS型で提供。加えて、DXに関するコンサルサービスを実施。
- 業績は着実に伸びており、ここ3年間で売上高は約2.9倍増収。また、営業利益は2021年2月に黒字転換した後、営業利益は10%以上を維持。
- 2023年度第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は20.5%、経常利益の進捗率は14.7%となり、前年同時期の進捗率と比べて低い。特に、売上高も経常利益もいずれも前年同期に比べて、減少。
WACULとは
最初にWACULがどのような会社かを簡単に解説します。
会社概要
WACULは、インキューベーション事業とプロダクト事業の二つの事業を持っており、インキュベーション事業では、ビックデータ解析とWACALが持つ知見を活かしたDXコンサルサービスを実施。プロダクト事業では、その企業が持つWebサイトをAIが解析して評価して改善提案するサービスやSEO支援サービス、Web広告運用代行などをSaaS型で提供。
- 設立年:2010年9月
- 上場年:2021年2月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:2月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://wacul.co.jp/
業績の推移
次にWACULのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びており、ここ3年間で売上高は約2.9倍増収しています。また、営業利益は2021年2月に黒字転換した後は、営業利益は10%以上を維持しています。
プロダクト事業について
正直、プロダクト事業と聞いても何しているかよくわからないと思いますので、WACULが行っているこの事業がどのようなものかを紹介します。
「事業計画及び成長可能性に関する事項」の中に概要をうまく説明する図があったので、以下で載せました。一言でいえば、デジタルマーケティングをSaaSで支援するサービスを提供しています。具体的に提供しているサービスは次の4つです。
- 自社のWebサイトの閲覧数を増やす(検索エンジンでの掲載順位を上げる)ためのSEO対策
- や自社のWebサイトに引き入れるためのWeb広告運用を代行するサービス
- 閲覧された自社のWebサイトから顧客が発注しやすくなるHPの設計(ランディングページの最適化)
- 自社のWebサイトを評価し、課題を提示するサービス
※WACUL「2022年4月_事業計画及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.13)
インキューベーション事業について
インキューベーション事業では、企業が抱えているデジタル分野にかかわる課題を解決するコンサルティングサービスです。具体的には以下のような事例があり、Wます。
※WACUL「2022年4月_事業計画及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.19)
2023年3月期第1四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年7月28日に発表されたWACULの2023年3月期第1四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2023年度第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は20.5%、経常利益の進捗率は14.7%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が28.0%、経常利益が29.7%でしたので、少し遅れているように見えます。また、売上高も経常利益もいずれも前年同期に比べて、減少しています。
※WACUL「2023年2月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.16)
まず、業績の進捗率については、私はもやもやを持ちました。WACULからは、売上高の進捗率が悪いのはコンサルや大型制作案件といったプロジェクトが第1四半期に売り上げが集中し、業績が1Q偏重になっていたものを解消したためとの説明がありました。また、経常利益の減益に関しては、人材投資して販管費が増えた結果とのことです。1Qに売り上げが偏重していたのを是正したとのコメントについては、現時点では会社側の説明に何の証拠(エビデンス)がないので、本当なのかは第2四半期決算で見極めるべきポイントです。
その見極めに関して、四半期ごとの売上高推移にヒントがありました。WACULが言う1Q偏重していることは2022年2月期にて確かに読み取れます。しかし、2020年2月期及び2021年2月期は、いずれの年度も四半期の中で4Qが最も多くなっていることから、常時の傾向ではありません。また、たとえ、売上高の1Q偏重がなくなったという説明が正しかったとしても、Q2~Q4の売上高が280~300百万円程度になることを意味しており、1Qと合計すると、通期で1200百万円しかならず、会社計画に届かなくなるのではないかとの疑問も出てきます。
※WACUL「2023年2月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.21)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
WACULのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:49.5億円
- PER:30.34倍
- PBR:6.00倍
- 配当:(2022.2)0円、(2023.2(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:64.0%
- 増収率:(2022.2)52.5%、(2023.2(予))27.8%
- 増益率:(2022.2)228.6%、(2023.2(予))-3.8%
- 営業利益率:(2022.2)17.0%、(2023.2(予))12.9%
※2022年9月1日終値で算出しております。
WACULと同じくデジタルマーケティングを支援するサービスをメインで行っている上場企業と比較してみました。どの企業も売上成長率は高いです。また、PERも今後の成長を見込み、赤字のブレイドを除けば高い水準です。
※2022年9月1日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にWACULの週足の上場以来の株価チャートを示します。公募価格は1050円で、2022年1月中頃に公募価格を下回ったあとは公募価格を上回れていません。また、週足チャートから見ると、底値610円近辺で抵抗線があり、ここ4か月は底値圏にあると思います。
株主構成
WACULの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある現社長の大淵亮平氏が上位株主です。このことから、10倍株の探索条件の一つに挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- ジャフコSV4共有投資事業組合 178(25.3)
- 大淵亮平 112(15.9)
- 垣内勇威 82(11.7)
- 鈴木達哉 27 (3.8)
- 梅田裕真 27 (3.8)
10倍株探索条件の可否まとめ
WACULは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、オーナー経営者かつ上位株主であることを除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:×
まとめ
ここまで、WACULの銘柄分析を行ってきました。デジタルマーケティングにかかわる支援事業を行っており、近年は高い売上高の成長が見られます。一方で、開発投資に回しているためか、営業利益は安定していない状態です。
特に気がかりな点は、今年度に入ってから売上高の成長も伸び悩んでいるようにみえることです。会社の説明では、1Q偏重を是正したためとありますが、そのコメントが事実かどうかを第二四半期決算でしっかり見極める必要があります。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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