私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、JDSC(4418)です。JDSCは、直近でいうと2022年8月12日の引け後に2022年6月期の通期決算発表がありました。ちなみに、決算発表後の株価は、約1.8%と少し上昇(8/12終値669円→9/2終値681円)しています。
本記事では、JDSCの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- JDSCは、需要予測やデータ基盤の構築などといったAIソリューションサービスが事業の柱。
- 売上高は着実に伸びていますが、まだ赤字となる年度が多い。2023年6月期は2022年6月期と比べて、売上高は15~25%増、営業利益は黒字転換の計画。
- 2022年6月期の通期決算によると、売上高の計画比に対して101.0%(前年同期比+29.7%)、経常利益は期中で行った下方修正に対しては赤字幅縮小。
JDSCとは
最初にJDSCがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
JDSCは、需要予測やデータ基盤の構築などといったAIソリューションサービスが事業の柱。2022年6月期は、人材採用数が当初予定の26人を大きく上回り39人採用したことから、営業利益は一転赤字転落。23年6月期はAIソリューションなど伸びて営業黒字に転換する予定。
- 設立年:2018年7月
- 上場年:2021年12月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:6月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://jdsc.ai/
業績の推移
次にJDSCのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びていますが、まだ赤字となる年度が多く、今年も黒字転換を計画していますが、営業利益率0.1%とぎりぎりの予定です。
AIソリューションとは
同社は、AI(人工知能)技術を使って、各企業が抱えている問題を解決するAIソリューションを主力事業としています。具体的には、小売業における需要予測やマーケティングの最適化、製造装置の異常検知などの課題に取り組んでいます。
なお、提供しているAIソリューションサービスは、2019年は0.9兆円しか国内市場規模はありませんでしたが、2030年には中国を除くアジア先進国市場で10.4兆円まで拡大する見込みです。(出典:.株式会社富士キメラ総研「2020 人工知能ビジネス総調査」)
JDSCが考えているビジネスモデル
JDSCが考えているビジネスモデルについては、「事業及び成長可能性に関する事項」の資料内に記載がありましたので、以下に示します。簡単に説明すると、リーディングカンパニーとの共同開発し、共同開発により創出したAIソリューションを同じ業界の他の企業へ展開することで事業拡大していく戦略です。
※JDSC「2021年12月_事業及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.7)
2022年6月期通期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月12日に発表されたJDSCの2022年6月期の通期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年6月期は、売上高の計画比に対して101.0%(前年同期比+29.7%)、経常利益は期中で行った下方修正に対しては赤字幅縮小でという結果でした。なお、2022年6月期が開始した当初は営業利益は76百万円と黒字の予定でした。赤字に転落した理由は、人件費や研究開発費を先行投資した結果とのことです。
※JDSC「2022年6月期通期 決算説明資料」より抜粋(P.14)
2023年6月期の会社予想
次に2023年6月期の会社予想が決算資料にありましたので、以下に記載します。2023年6月期は2022年6月期と比べて、売上高は15~25%増、営業利益は黒字転換の計画です。なお、前期も当初は営業黒字の予想を出していましたが、結局、赤字転落した実績からこの予想通りになるのかは、少し疑う気持ちがあります。
※JDSC「2022年6月期通期 決算説明資料」より抜粋(P.27)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
JDSCのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:87.3億円
- PER:ー倍
- PBR:2.43倍
- 配当:(2022.6)0円、(2023.6(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:96.0%
- 増収率:(2022.6)29.8%、(2023.6(予))15.0%
- 増益率:(2022.6)赤字転落、(2023.6(予))-
- 営業利益率:(2022.6)-3.8%、(2023.6(予))0.1%
※2022年9月2日終値で算出しております。
JDSCと同じくAI技術を活かした事業を行っている上場企業と比較してみました。この中で比べると、JDSCは規模が小さい割には成長率が低く、PERも高くなっているため、割高だと思われます。
※2022年9月2日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にJDSCの週足の上場以来の株価チャートを示します。公募価格は1680円で、上場してから1か月後(2022年1月下旬)には公募価格を割れてその後、一度も上回っていません。その後、一段安となっています。
株主構成
JDSCの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある現社長の加藤聡志氏が上位株主です。このことから、10倍株の探索条件の一つに挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 加藤聡志 457(35.7)
- SMBC信託銀行(特定運用金外信託未来創生2号F) 174(13.6)
- ユーテック4号投資事業組合 104 (8.1)
- コタエル信託(信託口) 87 (6.8)
- 淵高晴 40 (3.1)
10倍株探索条件の可否まとめ
JDSCは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、増収率と営業利益の二つは満足していません。
- 増収率(20%以上):×
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、JDSCの銘柄分析を行ってきました。現在、事業を成長させるために人材の採用に力を入れており、他のIT企業が採用活動に苦労している中、予定より多くの人材を雇用できている点は評価できます。今後、しっかり戦力化してほしいです。
一方で、2018年と新しい企業ということもあるのでしょうが、市場拡大している中で、他のAIソリューションを行っている企業と比較して成長率が低めなところは気になります。また、規模が小さい割に特定分野に集中して収益をあげていないことは、言い換えれば得意分野がないとも受け取れます。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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