私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、CINC(4378)です。CINCは、2022年9月13日の引け後に2022年10月期第3四半期の決算発表を行いました。ちなみに、決算発直前の株価は1540円(9/13終値)です。
本記事では、CINCの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- CINCは、SaaS型のデジタルマーケティング支援ツールの開発・販売及びDXコンサルが事業の柱
- 業績は着実に伸びており、2019年10月期から2022年10月期の3年間で売上高は約2.3倍に拡大する計画。また、営業利益率も2021年10月期に急伸しており、15.4%となりました。
- 2023年10月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は76.1%、経常利益の進捗率は89.4%。前年同時期とほぼ同じ進捗率。
CINCとは
最初にCINCがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
CINCは、SaaS型のデジタルマーケティング支援ツールの開発・販売及びDXコンサルを手掛ける。成長のために人材や採用活動への投資を増やす。
- 設立年:2014年4月
- 上場年:2021年10月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:10月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:http:// https://www.cinc-j.co.jp/
業績の推移
次にCINCのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びており、2019年10月期から2022年10月期の3年間で売上高は約2.3倍に拡大する計画です。また、2021年10月期に急伸し、営業利益率は15.4%となっています。
事業概要
CINCの事業の目的は、デジタルマーケティング技術や知識などを提供することにより、顧客企業と消費者を効率的に橋渡しすることで、サービスの提供先は企業です。実施している事業は、マーケティングの調査・分析ツールの開発・提供を行うソリューション事業とDXコンサルティングを行うアナリティクス事業の二つに分けられます。いずれの事業も月額課金サービス(ストック収益)が主流です。
※CINC「2022年10月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.11)
ソリューション事業の主力商品は、「Keywordmap」と「Keywordmap SNS」です。これらのサービスは、いずれも企業が商品紹介などを載せた自社コンテンツ(オウンドメディア)の作成のための支援ツールです。なお、2022年5月末より、You Tubeの視聴ニーズを分析できるツールについて、無償版として提供して効果を検証中です。(このあたりは、googleが動画に重きを置く指針を出したことに対して、迅速に対応している印象です。)
「Keywordmap」は、世間で話題になっているキーワードが何かとか競合サイトとの比較でどこが劣っているかなどを分析調査できます。このサービスで顧客が得られるメリットは、「Keywordmap」と「Keywordmap SNS」で得た調査分析結果をもとにどのようなキーワードを用いてコンテンツを作成すれば消費者に自社コンテンツを見てもらいやすくなるかを可視化できるためにコンテンツの充実できることです。
※CINC「2022年10月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.12)
「Keywordmap SNS」は、Twitterをビジネスで活用する際の運用プラットフォームです。具体的には、 SNS上にて商品やサービスの反響の調査やインフルエンサーの検索、効果的なハッシュタグの調査分析を行えます。加えて、自社のSNSの投稿管理できる機能や自社SNSの投稿後の影響調査する機能がついており、担当者のスキルに依存せずに効果的に運用しやすくなります。
※CINC「2022年10月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.14)
アナリティクス事業は、デジタルマーケティングを熟知したCINCのコンサルタント、アナリストが顧客企業の戦略策定や施策実行を支援するサービスです。
成長戦略
CINCは、ここまでの事業別売上高の推移を以下で示しました。ソリューション事業もアナリティクス事業もいずれも等しく成長を続けており、全体では2016年3月期以降はCAGR(年平均成長率)57%となっています。
※CINC「2021年12月 事業計画及び成⾧可能性に関する事項」より抜粋(P.12)
CINCが立てる成長戦略の基本方針は、以下の3点です。このうち、契約件数拡大と契約単価アップについては、着実にタスクをこなしてもらえばいいと思いますが、プロダクト数増加に関しては、「Keywordmap」や「Keywordmap SNS」といった新規顧客獲得用のツールに加えて、新しく既存顧客管理用ツールの開発を行っているようですが、現時点では具体策の記載がなく、今後の取り組みが注視されます。
※CINC「2021年12月 事業計画及び成⾧可能性に関する事項」より抜粋(P.48)
2022年10月期第3四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年9月13日に発表されたCINCの2022年10月期第3四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年10月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は76.1%、経常利益の進捗率は89.4%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が71.0%、経常利益が85.3%でしたので、ほぼ同じ進捗率となっています。
※CINC「2022年10月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.26)
次に四半期ごとの売上高などの推移を見ていきます。前年同時期と比べると売上高が33.6%の増収となっています。なお、気にするほどではないかもしれませんが、第2四半期と比べると4.7%しか売上高が増えておらず、少し成長が鈍化しているようにも見えます。ちなみに以下の図の中で一番、伸びが小さいケースで6.5%(2022年10月期第1四半期)でした。
※CINC「2022年10月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.27)
ソリューション事業について、2022年10月期第2四半期で課題として挙げていた「Keywordmap」の解約率については、CS人員を増やすなどの施策を打ったとの言葉どおり、解約率の低下が確認できました。
※CINC「2022年10月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.37)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
CINCのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:51.2億円
- PER:34.17倍
- PBR:3.71倍
- 配当:(2021.10)0円、(2022.10(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:74.8%
- 増収率:(2021.10)40.6%、(2022.10(予))32.2%
- 増益率:(202110)387.2%、(2022.10(予))24.7%
- 営業利益率:(2021.10)15.4%、(2022.10(予))13.8%
※2022年9月13日終値で算出しております。
CINCと同じくマーケティング支援ツールをメインで行っている上場企業と比較してみました。こうしてみると、PERの観点では、競合を比べて特に高いということはありません。また、売上高成長率については、競合よりも高く、今後の株価の上昇に期待が持てる内容です。
※2022年9月13日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にCINCの週足の上場以来の株価チャートを示します。公募価格は3080円で、上場後2か月経過したころに公募価格を下回り、その後、公募価格以上となっていません。
株主構成
CINCの株主構成は、以下のとおりです。現社長であり、創業者の石松友典氏が筆頭株主です。このことから、10倍株の探索条件の一つに挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 石松友典 91(27.4)
- (株)CZ 80(24.2)
- (株)平企画 46(13.9)
- 平大志朗 18 (5.5)
- SBI証券 11 (3.3)
10倍株探索条件の可否まとめ
CINCは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のすべての条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、CINCの銘柄分析を行ってきました。CINCは、デジタルマーケティングに活用できるプラットフォームの提供とコンサルを行っています。会社の業績は高い成長率を維持しており、今年度も順調に進捗しています。
しいて言うなれば、デジタルマーケティングツールは競合が多い分野である点とSEOについては近年、目まぐるしく変化していることから同社が対応できるのかという点の二つが懸念事項だと感じました。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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