私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、Link-U(4446)です。Link-Uは、2022年9月14日の引け後に2023年7月期の通期決算発表を行いました。ちなみに、決算発表後の株価は、約-14.4%と大きく下落(9/14終値849円→9/16終値727円)しました。
本記事では、Link-Uの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- Link-Uは、独自のサーバー技術を用いたデータ配信や分析・処理を主としたサーバープラットフォーム事業が収益の柱。
- 次にLink-Uのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びており、2019年7月期から2022年4月期の3年間で売上高は約2倍に拡大。一方で、2020年7月期までは30%を超えていたにもかかわらず、ここ2年かは営業利益率の低下が目立ち、2022年7月期は10%割れ。
- 2022年7月期の本決算は、期中に下方修正した会社予想に対して、売上高の進捗率は104.5%、営業利益の進捗率は133.0%。前年度に対して、売上高が約39.2%の増益、営業利益は-48%と減益で着地。
- 2023年7月期は、2022年7月期と比べて、売上高は27.0%の増収、経常利益は113.9%の増益を計画
Link-Uとは
最初にLink-Uがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
Link-Uは、独自のサーバー技術を用いたデータ配信や分析・処理を主としたサーバープラットフォーム事業が収益の柱。特に漫画アプリに強く、多くのアプリでプラットフォームとして採用。それに加えて、現在は縦スクロール型電子コミック(ウェブトゥーン)のオリジナル作品を制作して収益を上げているほか、NFT(非代替性トークン)事業も検討中。
- 設立年:2013年8月
- 上場年:2019年7月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:7月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 プライム市場
- ホームページ:https://www.link-u.co.jp/
業績の推移
次にLink-Uのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びており、2019年7月期から2022年7月期の3年間で売上高は約2.1倍に拡大しました。ただし、営業利益率は2020年7月期までは30%を超えていたものが、2021年7月期は13.4%、2022年7月期は4.1%と営業利益率の低下が目立ちます。また、2022年7月期については、6月14日に下方修正を行っています。
事業内容
Link-Uが提供しているサーバープラットフォームサービスの概要を以下の図で示します。Link-Uが持つサーバーをもとにしたデータ配信とデータ処理手法がサービスの肝となっています。サーバーサービスとなると、競合先として気になるのはアマゾンが提供するAWSなどのクラウドサービスですが、これらの競合に対する優位でとして、同社は、高速配信が可能なこと、低コスト、データ分析にやりやすさの3つを上げています。
※Link-U「2022年7月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.2)
Link-Uが提供するサービスの収益構造は次のとおりで、スポット売上にあたる初期開発とストック収益にあたるリカーリングの二つに分けられます。2022年7月期のおいては、売上高の8割程度がリカーリングでした。
※Link-U「2022年7月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.3)
2022年7月期通期決算資料を読み解く
それでは、2022年9月14日に発表されたLink-Uの2022年7月期の通期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年7月期通期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は104.5%、営業利益の進捗率は133.0%でした。2021年7月期に対して、売上高が約39.2%の増益、営業利益は-48%と減益となりました。営業利益率が下がった要因は、中期成長に向けた新規事業投資(人材投資やM&A関連投資)及び広告宣伝費の支出を増やしたためと説明されています。
※Link-U「2022年7月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.5)
次に四半期ごとの売上高の推移を見ていきます。Link-Uは、凸凹はしていますが、着実に四半期ごとでも売上高を伸ばしています。なお、ここ2年間は下期偏重の傾向が読み取れます。
※Link-U「2022年7月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.7)
来期(2023年7月期)計画
Link-Uは、2022年7月期の通期決算資料内で来年度(2023年7月期)の会社計画を発表しました。それによると、2023年7月期は、2022年7月期と比べて、売上高は27.0%の増収、経常利益は113.9%の増益を計画しています。経常利益率の伸びが大きいのが印象ですね。
※Link-U「2022年7月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.16)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
Link-Uのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:102.7億円
- PER:56.46倍(2023年7月期にて記載)
- PBR:4.99倍
- 配当:(2022.7)0円、(2023.7(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:81.2%
- 増収率:(2022.7)39.2%、(2023.7(予))27.0%
- 増益率:(2022.7)-60.7%、(2023.7(予))116.3%
- 営業利益率:(2022.7)5.1%、(2023.7(予))8.7%
※2022年9月16日終値で算出しております。
Link-Uと同じくデータサーバー事業を行っている上場企業と比較してみました。PERの観点では、競合よりも割高です。また、いずれの企業も昨年度は苦しみ、減益となっており、その中でLink-Uは39.2%増収と健闘しています。
※2022年9月16日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にLink-Uの2020年4月以来の株価チャート(週足)を示します。公募価格は940円(1対3の株主分割を考慮)でした。上場したのち、コロナによる巣ごもり消費への期待をきっかけに2020年6月下旬に上場以来最高値2900円を付けました。しかし、その後は一貫して下落し続けており、2022年1月中旬以降は公募価格を、下回った状態です。
株主構成
Link-Uの株主構成は、以下のとおりです。創業者である松原裕樹社長及び同じく創業者である取締役の山田剛史氏が筆頭株主です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 松原裕樹 443(31.3)
- 山田剛史 443(31.3)
- メディアシーク 115 (8.1)
- 日本マスター信託口 29 (2.0)
- 日本カストディ信託口 23 (1.6)
10倍株探索条件の可否まとめ
Link-Uは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:○
まとめ
ここまで、Link-Uの銘柄分析を行ってきました。分析して気になったのは、なぜクラウドサービスが全盛の時期にLink-Uのサービスが評価されているところがあるかです。資料内には、高速配信が可能とか低コストなどの理由は書かれていましたが、少なくとも低コストはむしろクラウドサービスのメリットではないかと感じがしました。(でないと、多くの企業がそっちをつかわないのでは??)
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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