私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、T.S.I(7362)です。T.S.Iは、2022年8月12日の引け後に2022年12月期第2四半期の決算発表を行いました。ちなみに、決算発表後の株価は、約4.2%と少し上昇(8/12終値2130円→9/28終値2220円)しています
本記事では、T.S.Iの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- T.S.Iは、サービス付き高齢者住宅の「アンジェス」運営が主力。加えて、訪問介護サービスや不動産業も実施。
- 業績は着実に伸びており、2018年12月期から2022年12月期の4年間で売上高は約2倍に拡大、今年度の営業利益率は5.6%となる計画。
- 2022年12月期第2四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は51.4%、経常利益の進捗率は60.2%。前年同時期と比べると、進捗は良好。
T.S.Iとは
最初にT.S.Iがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
T.S.Iは、サービス付き高齢者住宅の「アンジェス」を運営。訪問介護サービスや不動産業も実施。
- 設立年:2010年2月
- 上場年:2021年3月
- 業種分類:サービス
- 決算:12月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.t-s-i.jp/
業績の推移
次にT.S.Iのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びており、2018年12月期から2022年12月期の4年間で売上高は約2倍に拡大する計画です。加えて、今年度の営業利益率は5.6%となる予定です。
事業概要
T.S.Iが行っている事業は、サービス付き高齢者住宅を設計・建築・運営までを一気通貫で行うことです。これらの事業は自宅で看取られたいと望む高齢者が安心して住める住まいと介護サービスを提供することを目的として実施しているそうです。
※T.S.I「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.10)
T.S.Iの収益構造は、介護サービスのみを提供している競合と異なり、家賃収入や生活関連品の販売収入を得ることができるため、介護保険売り上げの比率が55.3%と低く、依存していません。つまり、介護保険の改定などによる影響を受けにくく、業績が安定しやすいです。
※T.S.I「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.12)
また、同社は住宅系の介護サービスを志向しています。これは、有料老人ホームやケアハウス、グループホームについては、規制があることから解説に制限がかかりますが、住宅系はその制限がなく、しかも幅広い層を受け入れることができることから成長性があるとみて選択しています。
※T.S.I「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.22)
2022年12月期第2四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月12日に発表されたT.S.Iの2022年12月期第2四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年12月期第2四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は51.4%、経常利益の進捗率は60.2%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が46.5%、経常利益が24.1%でしたので、進捗は良好です。営業利益が大幅に増加しているのは、前年度はIPO関連費用の計上があったためです。
※T.S.I「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.4)
以下に四半期ごとの売上高推移を示します。これによると、介護事業は居室数の伸びとともに四半期単位で順調に売上高が伸びています。加えて、2022年12月期第2四半期は不動産事業での売上増が全体の売上に貢献していることがわかります。
※T.S.I「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.6)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
T.S.Iのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:33.90億円
- PER:18.54倍
- PBR:3.30倍
- 配当:(2021.12)0円、(2022.12(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:37.6%
- 増収率:(2021.12)16.0%、(2022.12(予))24.6%
- 増益率:(2021.12)39.6%、(2022.12(予))38.5%
- 営業利益率:(2021.12)5.1%、(2022.12(予))5.6%
※2022年9月28日終値で算出しております。
T.S.Iと同じく介護施設事業をメインで行っている上場企業と比較してみました。こうしてみると、PERの観点ではほぼ平均くらいです。営業利益率も競合とほぼ同じの5%暗いです。なお、このように比較してみると、チャームケアコーポレーションのPERの低さ及び営業利益率の高さが目につきます。
※2022年9月28日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にT.S.Iの上場以来の株価チャート(週足)を示します。公募価格は2000円で、初値は4000円と公募価格の2倍を付け、その後、しばらく下落して底値1390円を付けました。その後、下値を切り上げつつ、上下動を繰り返しており、三角持ち合いの状況のように見えます。(上放れたとも読み取れそうです。)
株主構成
T.S.Iの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもあり現社長でもある北山忠雄 氏が筆頭株主です。また、見事に上位株主全部が親族で固められています。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 北山忠雄 49(32.5)
- 北山優吾 12 (8.3)
- 北山千賀子 10 (6.5)
- 北山裕美 10 (6.5)
- 北山雄三 10 (6.5)
10倍株探索条件の可否まとめ
T.S.Iは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、T.S.Iの銘柄分析を行ってきました。同社はサービス付き高齢者住宅の設計・建築・運用を事業として行っており、今後の高齢化の進行度合いから考えても成長が見込める事業です。
今後の事業を拡大していく際の懸念点としては、やはり介護保険の依存度が低いといっても、半分以上は介護保険からの収入であることから、国の制度改訂の影響を受けないかと介護サービスを行う人員の確保が進むかです(※教育方針については、解説はありましたが、人員獲得に関しては、あまり資料内に説明がなく、どのようにその課題に取り組むかはお聞きしたいなと思いました)。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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