私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、いつも(7694)です。いつもは、2022年8月12日の引け後に2023年3月期第1四半期の決算発表を行いました。ちなみに、決算発表後の株価は、約25%と大きく下落(8/12終値901円→9/30終値673円)しています
本記事では、いつもの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- いつもは、アマゾンなどのモール型や自社サイトのEC支援サービスを提供。サービスは、ECサイトの構築から運営及びマーケティング活動、配送までを一気通貫で対応。
- 業績は着実に伸びており、2020年3月期から2022年3月期の2年間で売上高は約2.2倍に拡大。ただし。今年度は減益となり、営業利益率は1.1%となる予定。
- 2022年6月に発表した中期計画によると、売上高は2027年3月期までに510億円と2022年3月期の約4.4倍に、営業利益は2027年3月期は44.3億円と2022年3月期の約7.3倍まで伸ばす計画。
- 2023年3月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は18.3%、経常利益は赤字。前年同時期の進捗率と比べると、かなり遅れている状況。
いつもとは
最初にいつもがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
いつもは、アマゾンなどのモール型や自社サイトのEC支援サービスを提供。サービスは、ECサイトの構築から運営及びマーケティング活動、配送までを一気通貫で対応。現状、取引先総数やブランド数は着実に増加中で、前期の買収事業も上乗せ。しかし、期初に中国での仕入れ遅延発生し、新規事業の人材採用費が負担に。
- 設立年:2007年2月
- 上場年:2020年12月
- 業種分類:小売
- 決算:3月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://itsumo365.co.jp/
業績の推移
次にいつものここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びており、2020年3月期から2022年3月期の2年間で売上高は約2.2倍に拡大しました。ただし、今年度は減益となり、営業利益率は1.1%となる予定です。
事業概要
いつもが行っている事業は、ECブランドサービス事業、ブランドEC事業、ECプラットフォーム事業の3つのに分けられます。
(※なお、決算資料内では、ブランドEC事業は古い名称のECマーケットプレイス事業、ECサービス事業はECマーケティング事業で表記されています。バリューアップは、共創・自制バリューアップに該当します。)
※いつも「2022年6月 中期経営計画」より抜粋(P.11)
いつもの事業に関するビジネスモデルは以下の図がわかりやすいです。中心から外に向かうほど、いつもが関与する度合いが大きくなるイメージで、いつもは少しずつできる範囲を広げていくことで会社を成長させていく方針をとっています。
※いつも「2022年6月 中期経営計画」より抜粋(P.10)
中期経営計画
いつもは2022年6月に中期経営計画を発表しており、概要は以下の二つのグラフで示します。まず、売上高は、2022年3月期で116億円でしたが、5年後の2027年3月期は510億円と約4.4倍に拡大する計画を立てています。営業利益についても、2022年3月期が6億円だったのを5年後の2027年3月期は44.3億円と約7.3倍まで伸ばす予定です。
※いつも「2022年6月 中期経営計画」より抜粋(P.18)
※いつも「2022年6月 中期経営計画」より抜粋(P.19)
なお、この中期計画を算出した根拠としては、次の二つをもとに算出したそうです。
- 2019年から2022年までの3年間でECプラットフォーム市場が1.5倍に拡大
- いつもは2019年から2021年の3年間の売上高成長率が市場成長率を上回っている
分野別(コア・成長・新規の3分野)の2027年3月期の目標も以下のとおり、示しており、これを達成するために2023年度は成長への投資を増やしていきます。
※いつも「2022年6月 中期経営計画」より抜粋(P.16)
これを実現するための取り組みとしては、以下が掲げられています。
- ECサービス事業は、複数のECサイトに対応できるようにサービス拡充して平均単価向上を目指す
- M&Aや出資により、いつもが扱うD2Cパートナーを増やす
- 今後急成長が見込まれるソーシャルコマースとライブコマースに適したECサイトの立ち上げを支援するプラットフォームを開発
2023年3月期第1四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月12日に発表されたいつもの2023年3月期第1四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2023年3月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は18.3%、経常利益は赤字でした。前年同時期の進捗率は、売上高が22.6%、経常利益が27.9%でしたので、進捗はかなり遅れている状況です。赤字となった理由としては、中国のゼロコロナ政策による影響及び新規事業への投資が原因とのことです。
※いつも「2023年3月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.10)
以下に四半期ごとの売上高推移を示します。前年上期にブランドが離脱して売上高が減少しましたが、新規事業の売り上げや主要事業の売り上げ増加により減少分を補い、前年度同期とほぼ同じ売上高となりました。
※いつも「2023年3月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.11)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
いつものファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:38.62億円
- PER:38.09倍
- PBR:1.67倍
- 配当:(2022.3)0円、(2023.3(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:35.1%
- 増収率:(2022.3)32.5%、(2022.3(予))23.1%
- 増益率:(2022.3)6.6%、(2023.3(予))-75.0%
- 営業利益率:(2022.3)5.2%、(2023.3(予))1.1%
※2022年9月30日終値で算出しております。
いつもと同じくEC支援サービスを行っている上場企業と比較してみました。こうしてみると、PERの観点では、赤字のBASEを除けば38.1倍と最も高い水準にあります。また、売上高の成長率は他の競合と比べて高いです。
※2022年9月30日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にいつもの上場以来の株価チャート(週足)を示します。公募価格は1540円で、初値は3610円と公募価格の約2倍を付けましたが、その後、下落しつづけて現在、上場来最安値の673円を付けました。なお、チャートから見るに底値とはいいにくい状況です。
株主構成
いつもの株主構成は、以下のとおりです。創業者の坂本守社長が第3位株主です。また、副社長の望月智之氏も第4位株主となっています。加えて、筆頭株主の株式会社つづくは坂本社長の、株式会社望月智之事務所は望月副社長の資産管理会社ですので、上位株主が現経営陣で占められています。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- (株)つづく 240(42.1)
- (株)望月智之事務所 120(21.0)
- 坂本守 24 (4.2)
- 望月智之 16 (2.8)
- 丸谷和徳 10 (1.7)
10倍株探索条件の可否まとめ
いつもは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、いつもの銘柄分析を行ってきました。最初にいうべきは、残念ながら、IR資料がすごくわかりにいということでしょうか。例えば、中期計画でサービス区分の表記を変えると言っておきながら、そのあとに発表した2023年3月期第1決算資料では古い名称のままで使っていることなど、不親切なIRになっているのはもったいないと感じました。(詳しく説明しようとしている意思は感じるのですが、逆効果でどんどん分からなくなってきます。。。)そのことから、株価が下落し続けていますが、そのあたりも影響が出ているのかなと思いました。
会社としては、意欲的な中期計画を立てています。ただし、先にも言ったっとおり、資料がわかりにくいことから何を根拠に出した数字なのか理解できず、実現性が判断できませんでした。達成できれば、株価にも大きく反映する内容だと思います。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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