私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、オンデック(7360)です。オンデックは、2022年10月14日の引け後に2022年11月期第3四半期決算を発表しました。ちなみに、決算発直前の株価は1430円(10/14終値)です。さて、本日はどうなるでしょうか。
本記事では、オンデックの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年10月時点のものです。
ここがポイント
- オンデックは、M&A仲介やアドバイザリーサービスを提供。地銀とのネットワークを活かして、後継者に悩む中小企業などに対する事業承継案件を積極的に受注。
- 2018年11月期から2020年11月期の2年間で売上高は約2.2倍に拡大しましたが、昨年度は一転、減収。営業利益率も昨年度は減益となり5.5%となりましたが、今年度は13.6%と回復する見込み。
- 2022年11月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は69.4%、経常利益の進捗率は78.0%。前年同時期の進捗率は相当悪かったので、比較しにくいですが、その昨年度と比べれば進捗は良好。
オンデックとは
最初にオンデックがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
オンデックは、M&A仲介やアドバイザリーサービスを提供。地銀などとネットワーク構築しており、事業承継案件に強み。
- 設立年:2007年12月
- 上場年:2020年12月
- 業種分類:サービス
- 決算:11月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.ondeck.jp/
業績の推移
次にオンデックのここ数年の業績推移を以下に示します。2018年11月期から2020年11月期の2年間で売上高は約2.2倍に拡大しましたが、昨年度は一転、減収となりました。営業利益率も昨年度は減収の影響などにより大きく下げた結果、5.5%となりましたが、今年度は13.6%を見込んでいます。
事業概要
オンデックが行っている事業は、M&Aの仲介サービス、企業間のマッチングサービスです。特に同社は、中小企業向けを主戦場としています。
※オンデック「2022年11月期 第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.4)
以下で示す通り経済産業省の資料(2020年3月公表、中小M&Aガイドライン)によると、2018年には4773件しかなかった国内M&Aの件数は、2029年に後継者不足を背景に60000件にも拡大すると見込んでいます。
※オンデック「2022年1月_事業計画及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.13)
2022年11月期第3四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年10月14日に発表されたオンデックの2022年11月期第3四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年11月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は69.4%、経常利益の進捗率は78.0%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が25.4%、経常利益が赤字でしたので、昨年度と比べれば進捗は良好です。
※オンデック「2022年11月期 第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.7)
オンデックが今年度に成約した案件数や現在の受託件数を以下に示します。件数自体は14件と少ないものの大型案件を成約したことから売上高を確保しています。また、新規受注件数は、上場による知名度向上により増加しているとのことです。
※オンデック「2022年11月期 第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.6)
以下に四半期ごとの売上高及びM&A成約数の推移を示します。過去2年度は4Qに成約が集中していましたが、オンデックによればコロナによる影響で遅延したことを理由としていました(私には理由と結果が結びつかないのですが、期末に慌てて契約をまとめたからということでしょうか?)。2022年11月期第3四半期の決算資料の書きぶりからみれば、わざわざ当期は安定と記載してあることから今年度は4Qに大きく計上されることはなさそうです(これであるようなら、さすがにIRが下手すぎます!)
どちらにしても、M&A成約数=売上高となること、成約も相手側次第(M&A当事者同士の契約)による影響が大きいことから、オンデックが開示している情報だけでは業績が読みにくいと言えます。
※オンデック「2022年11月期 第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.9)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
オンデックのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:41.0億円
- PER:38.27倍
- PBR:3.44倍
- 配当:(2021.11)0円、(2022.11(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:80.8%
- 増収率:(2021.11)-4.1%、(2022.11(予))49.0%
- 増益率:(2021.11)-73.7%、(2022.11(予))338.9%
- 営業利益率:(2021.11)5.5%、(2022.11(予))13.6%
※2022年10月14日終値で算出しております。
オンデックと同じくM&A仲介サービスをメインで行っている上場企業と比較してみました。比較した企業の中では、オンデックは売上高の面でも時価総額の面でもかなり規模が小さい企業です。しかし、その割にはPERも小さめです。割安とも言えますが、市場は成長性に疑問を持っているとも読み取れます。
※2022年10月14日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にオンデックの上場以来の株価チャート(週足)を示します。公募価格は1550円で、上場直後に上場来最高値7330円を付けました。それ以来、断続的に株価は下落し、ウクライナ戦争開戦時(2022年2月末)に最安値1100円を付けました。その後、底値を切り上げながら、現在は公募価格付近の1400~1500円の水準となっています。
株主構成
オンデックの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある久保良介社長が筆頭株主です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 久保良介 77(27.2)
- 舩戸雅夫 77(27.2)
- AngelBridgeDealbyDealF9号(株) 24 (8.7)
- (株)ペイフォワード 15 (5.2)
- ノムラノミニーズ・オムニバスマージンキャッシュPB 13 (4.6
10倍株探索条件の可否まとめ
オンデックは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件について、すべての条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):○
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:○
まとめ
ここまで、オンデックの銘柄分析を行ってきました。中小企業の後継者問題が深刻なことから、事業承継を目的としたM&Aについては、今後の成長が見込まれている市場です。そのため、同社も中小を主戦場としていることから今後の成長に期待が持てると思います。
一方で、競合と比べると、事業がうまく成長軌道に乗せられていないように見えます。というのも、コロナの影響のためと同社は言っていますが、競合企業が大きく売上高を伸ばしている中、同社は昨年度は減収でした。また、抱えている人員の割には成約につながっていないのか、あるいは利益率が低い領域を狙っているかは資料からわかりませんが、競合の営業利益率が30%近くとなっているにも比べて13.6%と低いのも気になります。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
この記事が面白かったら、以下のボタンをぽちっと押してください。