私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、モビルス(4370)です。モビルスは、2022年10月14日の引け後に2022年8月期の通期決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、約13.3%と大きく下落(10/14終値588円→10/19終値510円)しています
本記事では、モビルスの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年10月時点のものです。
ここがポイント
- モビルスは、コンタクトセンター(コールセンター)向けSaaSを各種提供。
-
業績は着実に伸びてており、2019年8月期から2022年8月期の3年間で売上高は約2.12倍に拡大。営業利益に関しては、黒字転換後(2020年以降)、営業利益率は022年8月期は11.5%まで改善。しかし、今年度は減益見込みで、営業利益率は10%割れと予想。
- 中期計画によると、2022年8月期に15.6億円だった売上高は2027年8月期に60億円と約4倍に増収となる見込み。営業利益に関しては、2024年8月期までは先行投資に力を入れることから1%未満と低い状態となる見込み。なお、2025年8月期以降、営業利益率は向上していき、2027年8月期には営業利益率は15~20%程度となる見込み。
- 2023年3月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は98.9%、経常利益の進捗率は89.6%であり、未達。
- 来期は増収減益の計画を立てており、売上高は25.2%の増益、営業利益は-87.6%の減益の見込み。
モビルスとは
最初にモビルスがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
モビルスは、コンタクトセンター(コールセンター)向けSaaSを各種提供。AIによるチャット応答(チャットポット)や在宅で電話対応できるシステムなどを販売。チャットボットの国内市場ではNo1。
- 設立年:2011年9月
- 上場年:2021年9月
- 業種分類:情報通信
- 決算:8月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://mobilus.co.jp/
業績の推移
次にモビルスのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びてており、2019年8月期から2022年8月期の3年間で売上高は約2.12倍に拡大しました。営業利益に関しては、2020年に黒字転換した後、営業利益率の改善が進み、2022年8月期は11.5%となりました。しかし、今年度は減益見込みで、営業利益率は10%割れする予想です。
事業概要
モビルスが行っている事業は、コンタクトセンター(コールセンター)業務を支援するサービスを提供しており、それらのサービスは以下の三つに分けられます。Saasサービスは、自動受付が可能となる電話・ボイスボットサービスやAIを用いたチャットサービスなどをサブスクリプションモデルで提供しています。
プロフェッショナルサービスはいわゆるコンタクトセンターの効率化や設立のためのコンサルト業のイメージです。イノベーションラボは、顧客の要望に合わせて新しい技術や機能を受託開発するなどして収益を挙げるサービスです。
※モビルス「2021年11月 事業計画及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.12)
中期計画
モビルスは決算資料内に中期計画を提示していましたので、以下で示します。それによると、2022年8月期に15.6億円だった売上高は2027年8月期に60億円と約4倍に増収となる計画です。なお、営業利益に関しては、2024年8月期までは先行投資を積極的に行うことから1%未満と低い状態を見込んでいますが、2025年8月期以降は営業利益率も向上していき、2027年8月期には15~20%程度にする計画を組んでいます。
※モビルス「2022年8月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.15)
2022年8月期通期決算資料を読み解く
それでは、2022年10月14日に発表されたモビルスの2022年8月期の通期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年8月期の通期決算は、7月に修正した会社予想に対して売上高の達成率は98.9%、経常利益の進捗率は89.6%でした。今期はこれまで推進してきた営業活動が実を結び、複数の大型案件が獲得できたとのことです。経常利益が目標未達となった理由については、特に資料内に記載はありませんでした。しいて言えば、売上総利益率が低いプロフェッショナルサービス及びイノベーションラボサービスの売上高が伸びて占める割合が増えたことが原因のように読み取れます。
※モビルス「2022年8月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.3)
次に主要KPIの推移を以下に示します。まず、いい点は1契約当たりの平均MRR(月次収益)が2022年8月期の3Qは165千円だったものが178千円に向上したことです。一方で、解約率は目安となる1%を超えてしまっています。また、契約数については、今年度は伸びが鈍化しているように見える点も気になるところです。
※モビルス「2022年8月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.6)
2023年8月期の業績予想
10/14の決算発表にてモビルスは、来期(2023年8月期)の業績予想を公表しています。それによると、来期は増収減益の計画を立てており、売上高は25.2%の増益、営業利益は-87.6%の減益の見込みです。営業利益が減益となるのは、先行投資のために人材採用費用や広告宣伝費用、新製品開発費用を計上するためです。なお、上期はオフィス移転費用を計上する予定のために赤字を予定しています。
※モビルス「2022年8月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.18)
また、モビルスは来年度のサービスごとの売上高内訳まで開示しています。以下のとおり、主要の三つのサービスはいずれも高い伸びを予定しており、特にイノベーションラボサービスは大型案件を受注することを想定し、41%伸長する見込みです。
※モビルス「2022年8月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.19)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
モビルスのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:30.2億円
- PER:3000倍
- PBR:1.38倍
- 配当:(2022.8)0円、(2023.8(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:83.9%
- 増収率:(2022.8)27.0%、(2023.8(予))25.2%
- 増益率:(2022.8)18.5%、(2023.8(予))-87.9%
- 営業利益率:(2022.8)11.5%、(2023.8(予))0.9%
※2022年10月19日終値で算出しております。
株価分析
以下にモビルスの上場以来の株価チャート(週足)を示します。公募価格は1280円で、上場した頃に付けた2310円が上場来最高値です。それ以来、株価は下落し続けて公募価格も割ってしまい、現在は500~600円近辺となっています。
株主構成
モビルスの株主構成は、以下のとおりです。現在の経営陣は上位株主に入っていません。なお、筆頭株主のラン・ホアン氏が創業者です。以上から、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致していません。
- ラン・ホアン 121(20.6)
- NTTコムウェア 52 (8.8)
- 三菱UFJキャピタル5号投資事業組合 45 (7.7)
- 阮明徳 40 (6.8)
- トランスコスモス 36 (6.2)
10倍株探索条件の可否まとめ
モビルスは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率及びオーナー経営者かつ上位株主を除いた3つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):○
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:×
まとめ
ここまで、モビルスの銘柄分析を行ってきました。同社は今まで人海戦術で対応していた企業の窓口となるコンタクトセンター(コールセンター)業務の効率化を支援するサービスを提供しています。今後、人員確保が難しくなることや企業がより一層の業務効率化が求められる背景から市場が伸長していくことが見込まれており、同社はチャットボットで国内市場シェアNo1であることから成長が期待できます。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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