私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、マイクロ波化学(9277)です。マイクロ波化学は、2022年8月12日の引け後に2023年3月期第1四半期の決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、約50.6%と大きく上昇(10/14終値771円→10/26終値1161円)しています
本記事では、マイクロ波化学の概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年10月時点のものです。
ここがポイント
- マイクロ波化学は、電子レンジなどに使われるマイクロ波を用いた製造プロセスを開発。収益は、その技術をもとにした共同開発により支払われる研究費から得ている。
-
売上高の上下動が大きいですが、ここ2年は伸びており、2021年3月期から2023年3月期の3年間で売上高は約2.5倍に拡大する計画。営業利益に関しては、昨年度までは2年連続で赤字で、今年度は黒字転換の見込み。
- 2023年3月期の第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は13.9%、経常利益は赤字で、前年同時期と同程度の進捗。
マイクロ波化学とは
最初にマイクロ波化学がどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
マイクロ波化学は、電子レンジなどに使われるマイクロ波を用いた製造プロセスを開発。収益は、その技術をもとにした共同開発により支払われる研究費から得ている。現在は、マイクロ波加熱による省エネ・CO2削減精製技術を用いて、リチウム実鉱石溶解の研究や昭和電工と共同で行っている使用済みプラケミカルリサイクル開発などを実施。
- 設立年:2007年8月
- 上場年:2022年6月
- 業種分:サービス
- 決算:3月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://mwcc.jp/
業績の推移
次にマイクロ波化学のここ数年の業績推移を以下に示します。共同開発の進捗や受託状況によって変わるために売上高の上下動が大きいですが、ここ2年は伸びており、2021年3月期から2023年3月期の3年間で売上高は約2.5倍に拡大する計画です。営業利益に関しては、昨年度までは2年連続で赤字でしたが、今年度は黒字に転換する計画となっています。
事業概要
マイクロ波化学は会社名に入っている通り、電子レンジで食品を加熱しているのに用いているマイクロ波技術を化学プロセスに実用化できるようにしました。その技術を使えば、従来の化学プロセスで用いているヒーターによる加熱と比べて、消費エネルギーが少なく時短化することが可能です。収益源は、共同開発契約を結んで顧客から受け取る研究費や実用化した場合に支払われるライセンス料となります。
※マイクロ波化学「2023年3月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.5)
2023年3月期第1四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月12日に発表されたマイクロ波化学の2023年3月期の第1四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2023年3月期の第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は13.9%、経常利益は赤字でした。前年同時期の進捗率は7.9%、経常利益は赤字でしたので、ほぼ同程度の進捗と言えます。なお、同社は化学メーカーとの関係が深く、化学メーカーの予算消化の状況の関係から4Qに売上高が集中しますので、1Qは悪いことは想定通りと言えます。
※マイクロ波化学「2023年3月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.50)
次にマイクロ波化学が今年度に入って新規に獲得した案件数の推移について、以下に示します。今期は25件の新規案件の獲得していますが、すでに7件を獲得しています。また、カーボンニュートラルに関連した案件の引き合いが多く入っており、前年度と比べて引き合い数は14.5%と増えています。なお、同社の決算資料によると、新規案件の受託は上期に集中するとあったことから、来月(2022年11月)に発表される第2四半期にどれだけ積み上げておけるかが今年度の決算を占う上では、重要な指標です。
※マイクロ波化学「2023年3月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.18)
次に現在、受託している開発案件総数を以下に示します。なお、開発総案件数に関する定義は当該年度中で進行中あるいはその年度で終了した案件数を数えています(決算資料のP16参照。もしかすると解釈が間違っているかもしれません)。グラフにある通り、2021年3月期はコロナの影響を受けて案件総数は減少しましたが、それ以降は順調に伸びており、加えて開発フェーズが進んだ(Phase1が開発初期のコンセプト検証の段階で、Phase4は製造支援の段階)ものが増えています。
※マイクロ波化学「2023年3月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.20)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
マイクロ波化学のファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:176.4億円
- PER:350.76.倍
- PBR:11.68倍
- 配当:(2022.3)0円、(2023.3(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:59.5%
- 増収率:(2022.3)87.8%、(2023.3(予))31.7%
- 増益率:(2022.3)赤字継続、(2023.3(予))黒字転換
- 営業利益率:(2022.3)-10.1%、(2023.3(予))5.9%
※2022年10月26日終値で算出しております。
株価分析
以下にマイクロ波化学の上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は605円で、上場時は公募割れスタートでしたが、その後、じわじわと上昇しており、2022年10月に入ってからは800円近辺から一気に1400円まで急騰しています。
株主構成
マイクロ波化学の株主構成は、以下のとおりです。共同創業者でもあり社長でもある吉野巌 氏が上位株主です。同じく共同創業者である塚原保徳 氏も上司株主となっています。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- UTEC2号投資事業組合 298(22.2)
- ジャフコSV4共有投資事業組合 215(16.0)
- (株)INCJ 189(14.0)
- 吉野巌 118 (8.7)
- 塚原保徳 112 (8.3)
10倍株探索条件の可否まとめ
マイクロ波化学は、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):○
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:○
- オーナー経営者かつ上位株主:○
まとめ(というより私の感想)
ここまで、マイクロ波化学の銘柄分析を行ってきました。マイクロ波自体は、昔からありますし、製造プロセスにも一部では使われていましたが、同社が検討しているような大型プラントへの適用は難しいものです。(10年以上前の私が持っている情報なので、右から左に聞き流してもらいたいですが、引火しやすい物質などが入っていると発火の危険性が高くなるために温度制御などの取り扱いが難しいこと、装置の出力を上げるのが難しかったという印象があります。)それを同社は成し遂げているという点からも面白い会社だと思いました。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
この記事が面白かったら、以下のボタンをぽちっと押してください。