私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、ライトアップ(6580)です。ライトアップは、2022年8月10日の引け後に2023年3月期第1四半期の決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、約40.1%と大きく下落(8/10終値1687円→10/27終値1010円)しています
本記事では、ライトアップの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年10月時点のものです。
ここがポイント
- ライトアップは、中小企業向けの助成金診断システムやITツールの販売及びそれらの企業に対するコンサルティングサービスを提供。
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業績は着実に伸びてており、2019年3月期から2022年3月期の3年間で売上高は約1.7倍に拡大しました。営業利益に関しては、2021年3月期に20%を超えており、その後も安定して25~30%の営業利益を出しています。
- 2023年3月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は12.2%、経常利益の進捗率は0%。前年同時期と比べると、遅れ気味。
ライトアップとは
最初にライトアップがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
ライトアップは、中小企業向けの助成金診断システムやITツールの販売及びそれらの企業に対するコンサルティングサービスを提供しています。
- 設立年:2003年9月
- 上場年:2018年6月
- 業種分類:サービス
- 決算:3月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.writeup.jp/
業績の推移
次にライトアップのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びてており、2019年3月期から2022年3月期の3年間で売上高は約1.7倍に拡大しました。営業利益に関しては、2021年3月期に20%を超えており、その後も安定して25~30%の営業利益を出しています。
事業概要
ライトアップが行っている事業は、DXソリューション事業とコンテンツ事業の二つに分けられます。SI部門では、DXソリューション事業は、中小企業に対するITコンサルや助成金受給診断サービスなどを提供しています。コンテンツ事業は、マーケティング支援やSNS運用の代行業務、Webコンテンツの企画及び製作業務などを行っています。
同社はあえて赤字で苦しんでいる中小企業をターゲットに選んでいる珍しい企業で、これらの企業の生産性を向上させ、黒字化するように支援することで収益を上げるビジネスモデルです。
※ライトアップ「2022年6月 事業計画及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.7)
2023年3月期第1四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月10日に発表されたライトアップの2023年3月期第1四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2023年3月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は12.2%、経常利益の進捗率は0%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が22.5%、経常利益が23.6%なので、遅れていると言えます。加えて、前年同時期と比べて減収減益となりました。売り上げが低迷しているのは、予定していた一部の売上高の計上が長期化により後ろ倒しになったことが一つの要因とのことです。経常利益が減収益となったのは、新規事業に投資したことにより人件費や広告宣伝費が増えたことが起因となりました。
※ライトアップ「2023年3月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.3)
次にライトアップの四半期ごとの売上高推移について、紹介いたします。売上高に関しては、上期は少なめで、4Qに集中する傾向が見て取れます。ただ、そうはいっても、前四半期売上の4割減となっていること、今期の増収率を44%見込んでいることから、正直、計画が達成できるのか不安になる状況です。できれば、そのあたりの不安を払しょくできるIR資料にしてほしいですね。
※ライトアップ「2023年3月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.5)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
ライトアップのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:58.6億円
- PER:7.66倍
- PBR:2.16倍
- 配当:(2022.3)0円、(2023.3(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:82.0%
- 増収率:(2022.3)30.1%、(2023.3(予))44.0%
- 増益率:(2022.3)41.1%、(2023.3(予))19.1%
- 営業利益率:(2022.3)30.2%、(2023.3(予))25.2%
※2022年10月27日終値で算出しております。
ライトアップと同じく中小企業向けにIT系支援サービスを提供している上場企業と比較してみました。比較した企業の中では、ライトアップは予想PERが低く、10倍以下です。現段階は進捗率が悪いことから敬遠されている状況とも言えますが、仮に今期の予想が達成できるのであれば、割安と言えます。売上高伸びについても、競合よりも高いため、成長性も期待できます。
※2022年10月27日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にライトアップの上場以来の株価チャート(週足)を示します。公募価格は1410円(1:2の株式分割を考慮)で、その後はしばらく下落し、2020年3月末に上場安値となる310円を付けました。そこから急反転し、2021年11月頭には上場来最高値となる4370円と付けて、上場来安値から見ればテンバガーを達成しています。その後、下降トレンドとなり、現在は最高値の1/4となる1000円前後です。
株主構成
ライトアップの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもあり社長でもある白石崇氏が筆頭株主です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 白石崇 246(42.3)
- 自社(自己株口) 53 (9.1)
- ノムラノミニーズ・オムニバスマージンキャッシュPB 16 (2.8)
- SBI証券 15 (2.6)
- モルガン・スタンレー・アンド・カンパニー 13 (2.3)
10倍株探索条件の可否まとめ
ライトアップは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件をすべて満足しています。
- 増収率(20%以上):○
- 営業利益率(10%以上):○
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:○
- オーナー経営者かつ上位株主:○
まとめ
ここまで、ライトアップの銘柄分析を行ってきました。ITコンサルはすでに多くの企業が取り組んでいる中、ライトアップはあえて赤字の中小企業をターゲットにすることで、競合が少ないブルーオーシャンを狙っています。試み自体は面白いのですが、ビジネスモデルとしてどの程度、成功確率があるのかが判断がつきません。(収益が安定的に上がらていけるのかという疑問があります。)
また、今期に関しては、第1四半期の進捗がかなり悪い割には決算資料内に挽回策などの記載がないので、業績が好ましくない状況なのかなと勘ぐってしまいます。どちらにしても、次の第2四半期決算がどのようなものになるのか注視したいと思います。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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