私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、unerry(5034)です。unerryは、2022年11月11日の引け後に2023年6月期第1四半期決算の発表を行いました。ちなみに、決算発表後の株価は、約27.2%と大きく上昇(11/11終値2023円→12/7終値2586円)しています。
本記事では、unerryの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年12月時点のものです。
ここがポイント
- unerryが行っている事業は、人流データによるビッグデータプラットフォームの運営、小売・メーカー・自治体へのデータ分析や広告サービスの提供。
- 売上高は着実に伸びており、2020年6月期から2023年6月期の3年間で売上高は約3.4倍に拡大する計画。また、前年度に黒字転換し、今年度はついに営業利益率は10%を超える見込み。
- 2022年6月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は22.9%、営業利益は赤字。前年度同時期と比べて、好調に推移しているとのこと。
- 2023年1月24日に上位株主のロックアップ期間(180日間)が終えるので、換金売りが発生する可能性があり。
unerryとは
最初にunerryがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
unerryは、人流データによるビッグデータプラットフォームの運営、小売・メーカー・自治体へのデータ分析や広告サービスの提供を行っています。
- 設立年:2015年8月
- 上場年:2022年7月
- 業種分類:情報通信
- 決算:6月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.unerry.co.jp/
業績の推移
次にunerryのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びており、2020年6月期から2023年6月期の3年間で売上高は約3.4倍に拡大する計画です。また、営業利益率は、前年度に黒字転換し、今年度はついに10%を超える見込みです。
事業概要
unerryは、携帯電話のアプリなどから集めたリアル行動(人流)のビックデータとAI解析を組み合わせて顧客の事業を支援するサービスを行っています。具体的には、以下の3つのサービスを提供しています。
- 分析・可視化サービス
- 行動変容サービス
- One to Oneサービス
分析・可視化サービスはいわゆるビックデータを解析した結果をまとめて報告するサービスです。小売店や商業施設、不動産業者、自治体向けにデータを提供しています。二つ目の行動変容サービスは、小売店や消費財メーカーに対して、売上が期待できそうな対象をビックデータから探し出し、その対象に効果的な広告を打つサービスです。最後のOne to Oneは人流以外のデータを顧客から受け取り、さらに綿密な広告を提案するサービスとなっています。
※unerry「2023年6月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.8)
次に、以下でunerryが示す中期での成長戦略を示します。現在、unerryのサービスは小売・外食サービスを中心に広がっていますが、今後は既存顧客を最大限に拡張するとともに、消費財メーカーに範囲を拡大していく方針です。加えて、そこから都市全体の行動を可視化するサービスに広げていく戦略を立てています。
※unerry「2023年6月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.50)
2023年6月期第1四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年11月11日に発表されたunerryの2023年6月期第1四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2023年6月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は22.9%、営業利益は赤字となっています。前年度同時期の売上高の進捗率は約18%かつ営業利益も赤字だったことから、好調に推移していると言えます。(※前年同時期は上場前だったことから、四半期決算は公表していません。)営業利益が赤字となっているのは、上場費用やシステム開発に伴う一時的な費用が発生したことが要因とのことです。気になる点としては、粗利率(進捗率:16%)が会社計画と比べて低い点でしょうか。会社のコメントとしては、売上高の伸びが粗利率が少ない行動変容サービスに由来しているためとありますが、通期でも同様の傾向となれば営業利益目標の未達の要因にもなりえるので、第2四半期の決算で注視したい点です。
※unerry「2023年6月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.39)
以下にunerryの四半期別売上高の推移を示します。いずれの年度も多くの顧客が3月末決算となっている関係から、予算の消化が多くなる第3四半期(1~3月)に売上高が集中する傾向があり、3Q決算で売上高が偏重する傾向が見て取れます。
※unerry「2023年6月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.44)
以下にサービス別の四半期業績推移を示します。unerryが持つ3つの主要サービスはいずれも前年同時期と比べて増収を達成しており、順調に成長していることがわかります。なお、分析・可視化については、成長率が低く見えていますが、売上高の計上時期が偏っていることから参考程度とみてよいです。(3Qに売上高が偏重している要因の一つ)
※unerry「2023年6月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.36)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
unerryのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:91.2億円
- PER:70.33倍
- PBR:8.70倍
- 配当:(2022.6)0円、(2023.6(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:67.9%
- 増収率:(2022.6)84.7%、(2023.6(予))35.1%
- 増益率:(2022.6)黒字転換、(2023.6(予))180.7%
- 営業利益率:(2022.6)5.1%、(2023.6(予))10.9%
※2022年12月7日終値で算出しております。
以下で、四季報でunerryと競合とされている上場企業と比較してみました。売上高成長率は他社と比べて高いことから、unerryのPERは70.3倍と競合と比べても大きく、人気化していると言えます。なお、営業利益率は今期、10%超えすることを加味すれば、競合とそん色ない水準です。全体としてみれば、来年度以降数年間も30%以上の増収すると仮定しても、現状の株価は割高な状態にあると私は判断しました。
※2022年12月7日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にunerryの上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は1290円で、上場直後に上場来最高値に3250円を付けた後、下落トレンドに入り、10月頭に1466円まで下がりました。その後、再度、上昇トレンドに入り、現在は2500円と上場来最高値を追っている状況です。なお、2023年1月24日に上位株主のロックアップ期間が終えるので、換金売りが発生する可能性(180日間)があります。
株主構成
unerryの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもあり、現会長でもある内山英俊 氏が筆頭株主です。また、第2位株主である(株)UC・AIRは内山氏の資産管理会社です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 内山英俊 125(35.6)
- (株)UC・AIR 52(14.9)
- 三菱商事 30 (8.5)
- みずほ成長支援第2号投資事業組合 28 (7.9)
- 自社(自己株口) 25 (7.1)
10倍株探索条件の可否まとめ
unerryは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件をすべて満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、unerryの銘柄分析を行ってきました。事業はビックデータを取り扱う企業であり、流行の銘柄だと思います。事業自体もいろいろな業過に手を足さずに自身が得意とする小売・外食を着実に開拓していく方針を立てていることから堅実な成長が見込めるのではないでしょうか。
気になる点は、PERの面からも70倍超と割高な水準にあること、営業利益率が10%強とそれなりに高い水準にあることから、利益率の上乗せが期待しにくいことです。事業が好調に推移しても当面は株価が上がりづらい局面が続きそうです。(ロックアップ期間明け後の上位株主の換金売りにも注意が必要ですね。)
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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