私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、グラッドキューブ(9561)です。グラッドキューブは、2022年11月14日の引け後に2022年12月期第3四半期の決算発表を行いました。ちなみに、決算発表後の株価は、-9.5%(11/14終値1061円→12/19終値960円)と少し下落しています。
本記事では、グラッドキューブの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年12月時点のものです。
ここがポイント
- グラッドキューブはデジタルマーケティング支援が主力事業であり、サイト解析ツールを使ったSaaSとネット広告代理サービスを展開。近年、AIを用いたスポーツの勝敗予想をWebで紹介するコンテンツサービスを開始。
- 業績は着実に伸ばしており、2019年12月期から2022年12月期の3年間で売上高は2.2倍に拡大する計画。また、2022年12月期の営業利益率は32%に達する見込み。
- 2022年12月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は74.5%、経常利益の進捗率は76.4%。前年度とほぼ同じ進捗率であり、順調に推移。
- SaaS事業は高成長を続けているが、売上高の半分以上を占めているマーケティング事業が景気後退懸念から減速傾向にある影響から、四半期売上高は第1四半期をピークに第2四半期、第3四半期と連続して減少。
グラッドキューブとは
最初にグラッドキューブがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
グラッドキューブは、SaaS事業とマーケティング事業、SPAIA事業の3つを実施しています。このうち、SaaS事業ではサイト解析ツールのSiTest(サイテスト)を用いたデジタルマーケティングサービスを、マーケティングソリューション事業ではインターネット広告における各種支援サービスを提供しています。また、新たに新事業としてSPAIA事業では、AIによるプロ野球およびサッカー、競馬の勝敗予想データを提供するサービスを展開を始めました。
- 設立年:2008年2月
- 上場年:2022年9月
- 業種分類:サービス
- 決算:12月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.glad-cube.com/
業績の推移
次にグラッドキューブのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸ばしており、2019年12月期から2022年12月期の3年間で売上高は2.2倍に拡大する計画です。また、営業利益率は年々、大きく改善されており、2022年12月期はなんと32%となる見込みです。
事業概要
グラッドキューブが行っている事業は、以下の3つです。
- マーケティング事業
- SaaS事業
- SPAIA事業
このうち、SPAIA事業はスポーツの勝敗をAI用いて予想するサービスで、2016年に立ち上げし、まだ営業赤字ですが、近年ようやく売り上げが計上できるようになりました。
※グラッドキューブ「2022年12月期第3四半期 決算補足説明資料」より抜粋(P.3)
以下にグラットキューブが抱える事業の売上高ポートフォリオがどのように推移しているかを示します。見てわかるとおり、2019年度はマーケティング事業が全社の4分の3を示していましたが、ここ2年間はSaaS事業が急成長した結果、主力事業に育ったことからマーケティング事業が占める割合が55.7%まで低下しています。
※グラッドキューブ「2022年9月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料」より抜粋(P.8)
2022年12月期第3四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年11月14日に発表されたグラッドキューブの2022年12月期第3四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年12月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は74.5%、経常利益の進捗率は76.4%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が70.3%、経常利益が74.1%でしたので、前年度よりも進捗率が良好であり、順調に推移していると言えます。
※グラッドキューブ「2022年12月期第3四半期 決算補足説明資料」より抜粋(P.10)
以下にグラットキューブの四半期ごとの売上高の推移を示します。2022年12月期第1四半期まではおおむね右肩上がりで成長を続けていたものの、四半期売上高は第1四半期をピークに第2四半期、第3四半期と連続して減少しました。
これは、SaaS事業が前年同時期から+31.2%増収となっている一方で、売上高の半分以上を占めているマーケティング事業はほぼ同じ売上高に滞っていることが影響しています。さらにマーケティング事業の四半期別売上高の推移をみると、マーケティング事業が景気後退懸念から減速傾向にある影響から、1Q以降は減少しています。
※グラッドキューブ「2022年12月期第3四半期 決算補足説明資料」より抜粋(P.8)
SPAIA事業に関しては、無料会員数を増やすことに注力している方針の影響で、売上高は伸びておらず、営業利益も赤字となっています。結果、無料会員数は堅調に伸びていますが、有料会員数は伸び悩んでいます。
※グラッドキューブ「2022年12月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.22)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
グラッドキューブのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:77.9億円
- PER:22.88倍
- PBR:6.97倍
- 配当:(2021.12)0円、(2022.12(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:41.7%
- 増収率:(2021.12)37.8%、(2022.12(予))23.5%
- 増益率:(2021.12)136.5%、(2022.12(予))60.7%
- 営業利益率:(2021.12)24.0%、(2022.12(予))32.0%
※2022年12月19日終値で算出しております。
グラッドキューブと同じくデジタルマーケティングに関係する事業を実施している競合企業と比較してみました。PERを比較してみると、ここで比較した4社間であればグラットキューブは平均的です。売上高成長率は競合よりも高めで、営業利益率も高い水準です。
※2022年12月16日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にグラッドキューブの上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は960円で、上場2日目に1580円の上場来最高値を付けました。その後、下落していき、2022年12月期第3四半期決算をきっかけに11/15に公募割れしました。その後は800円~1200円の間を行き来しています。
株主構成
グラッドキューブの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある金島弘樹社長が上位株主です。また、筆頭株主の(株)ゴールドアイランドは金島弘樹氏が保有する資産管理会社です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- (株)ゴールドアイランド 390(52.4)
- 金島弘樹 219(29.4)
- MICイノベーション4号投資事業組合 65 (8.8)
- NTTインベストメントパートナーズF2投資事業組合 32 (4.4)
- 金島由樹 24 (3.2)
10倍株探索条件の可否まとめ
グラッドキューブは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件をすべて満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、グラッドキューブの銘柄分析を行ってきました。SaaS事業は好調に推移しているものの、マーケティング事業に関しては、景気後退の懸念から取引先が広告宣伝費を抑制している影響で1Q以降、売上が減少しています。景気に関しては、同社ではどうしようもない要因のため、早く解消してもらうしかありません。(売上高を落とさないようにできることはあるとは思いますが。)
また、SPAIA事業に関しては、無料会員数は増えているものの、有料会員数は減少していることから、いかにして有料会員登録をしてもらうかが事業成長のカギとなりそうです。次の通期計画においては、そのあたりの改善施策がどうなるか注視したいです。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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