私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、ヤプリ(4168)です。だいぶ前になりますが、ヤプリは、2022年11月11日の引け後に2022年12月期第3四半期の決算を発表しています。ちなみに、決算発表後の株価は、34.3%と大きく下落(11/11終値1527円→1/6終値1002円)しています。
本記事では、ヤプリの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2023年1月時点のものです。
ここがポイント
- ヤプリは、操作簡単なノーコードが強みとなるアプリ開発・運用・分析できるクラウド型ソフト『ヤプリ』を提供。
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売上高は着実に伸びており、2018年12月期から2022年11月期の3年間で売上高は約3.2倍に拡大。営業利益は確認できる限り、常に赤字。赤字の割合も最もひどいとき(2019年12月期)は売上高の半分近くにも達する。
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会社四季報2023年1月号(新春号)において、来期は黒字化を予想。これは、来年度から人件費の伸びが抑えられるため。
- 2022年12月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は68.4%、経常利益は赤字。前年度同時期と比べると、少し悪め。
- 四半期ベースでみると、2022年12月期第3四半期決算は広告宣伝費を抑えた結果、赤字幅は大きく減少。
- ストック売り上げは、四半期ベースにて堅調に増加。
ヤプリとは
最初にヤプリがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
ヤプリは、操作簡単なノーコードが強みとなるアプリ開発・運用・分析できるクラウド型ソフト『ヤプリ』を提供。
- 設立年:2013年2月
- 上場年:2020年12月
- 業種分類:情報通信
- 決算:12月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://yappli.co.jp/
業績の推移
次にヤプリのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びており、2018年12月期から2022年11月期の3年間で売上高は約3.2倍に拡大しました。営業利益は確認できる限り、常に赤字となっており、しかも赤字の割合も最もひどいとき(2019年12月期)は売上高の半分近くになっています。なお、会社四季報2023年1月号(新春号)において、来期予想は黒字化です。
事業概要
ヤプリは、複雑なプログラム言語を使わずにノーコードでアプリを開発できるクラウド型ソフト「ヤプリ」を販売しています。顧客がこのソフトを利用することで、ITエンジニアでなくてもアプリを迅速で開発・運用が可能となります。特に現在、IT技術者が世界的に不足していることから、ITスキルが持たない人でもアプリを作成できることはこの課題解決策となる可能性を秘めています。
※ヤプリ「2022年12月期第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.6)
なお、ビジネスモデルとしては初期導入費用に加えて、月額利用料を顧客からもらう仕組みとなっており、ストック型ビジネスとなっています。
2022年12月期第3四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年11月11日に発表されたヤプリの2022年12月期第3四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年12月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は68.4%、経常利益は赤字でした。前年度同時期の進捗率は、売上高が70.9%、経常利益は赤字でしたので、進捗は少し悪めと言えます。
なお、前年同時期と比べて、増収(売上高:+30.1%)で赤字額は62百万円増加しており、売上高は過去最高です。
※ヤプリ「2022年12月期第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.15)
以下に四半期ごとの売上高の推移を示しました。見てのとおり、売上高は右肩上がりとなっていますが、第3四半期は大型案件がを含む初期費用が低迷したことから、増収率は減速しています。
※ヤプリ「2022年12月期第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.17)
なお、以下に示したストック型の四半期推移のグラフでもわかるとおり、ストック売上高推移は堅調に推移ししています。
※ヤプリ「2022年12月期第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.19)
ヤプリの営業利益の四半期ごとの推移を以下に示します。四半期ベースでも赤字が継続中ですが、広告宣伝費を抑えた影響で2022年12月期第3四半期の赤字は過去最少となっています。なお、2022年12月期第4四半期は3Qの1.6億円から3~4億円に増やす予定とのことです。
※ヤプリ「2022年12月期第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.22)
最後に、ヤプリが負担している費用の中で広告宣伝費とともに大きな割合となっている人件費について、言及します。以下のとおり、今年度までは事業拡大のための先行投資として正社員数を増やしてきましたが、来年度以降は制写真数の伸びを抑制させる計画となっており、来年度の収益が増えれば赤字解消につながります。
※ヤプリ「2022年12月期第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.25)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
ヤプリのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:126.5億円
- PER:-倍(今期赤字予定)
- PBR:8.05倍
- 配当:(2022.12)0円、(2023.12(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:54.3%
- 増収率:(2022.12)36.5%、(2023.12(予))30.3%
- 増益率:(2022.12)-%、(2023.12(予))ー%
- 営業利益率:(2022.12)赤字、(2023.12(予))赤字
※2023年1月6日終値で算出しております。
四季報にヤプリの競合企業と記載があっ上場企業を以下で比較してみました。いずれの競合競合も売上高の伸びは大きいですが、赤字だったり減益だったりで苦しんでいるところが多いです。
※2023年1月6日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にヤプリの上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は3160円で、2020年12月末に上場してから約1か月後に上場来最高値となる7690円を付けました。その後、下落トレンドとなり、2021年8月に公募価格を割り込み、いったん反発したもののトレンドは変わらず、現在は1000円を抵抗線として株価は推移しています。
株主構成
ヤプリの株主構成は、以下のとおりです。創業者で現在の社長である庵原保文氏が筆頭株主です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 庵原保文 206(16.4)
- 佐野将史 206(16.4)
- 日本カストディ信託口 99 (7.8)
- BBH(ルクス)FILエイトロードインベストメント 84 (6.6)
- 日本マスター信託口 72 (5.7)
10倍株探索条件の可否まとめ
ヤプリは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):○
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:○
- オーナー経営者かつ上位株主:○
まとめ
ここまで、ヤプリの銘柄分析を行ってきました。ノーコードでアプリが開発できるソフト販売はIT人材の不足の課題に対する有効な対策となっており、成長が期待できる分野だと思います。
ただし、ここまでは人件費負担や広告宣伝費の負担が大きく、赤字が続いています。来期以降は人件費の伸びを抑制させる計画となっており、黒字転換が期待されていますが、その計画どおり、進むか注視していきたいと思います。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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