私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、pluszero(5132)です。pluszeroは、2022年12月14日の引け後に2022年10月期通期の決算発表を行いました。ちなみに、決算発表後の株価は、16.7%と大きく下落(12/14終値5555円→1/24終値4625円)しています。
本記事では、pluszeroの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2023年1月時点のものです。
ここがポイント
- pluszeroは、AIとITを軸に各種テクノロジーを統合的に活用したソリューション事業が主力。
- 業績は着実に伸びており、2020年10月期から2023年10月期の3年間で売上高は約2.4倍に拡大する計画。また、営業利益率は2022年10月期に黒字化し、17.5%と高い水準にあり。
- 中期計画によると、2026年10月期に売上高は27.66億円と2022年10月期の3.8倍に、営業利益は13.84億円と2022年10月期の8.7倍にする計画。
- 2022年10月期通期期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は100.1%、経常利益の進捗率は100.4%。なお、AEI関連の売上高を初計上。
- 取引社数、プロジェクト数、1社の売上高のすべてが前年度より増加しており、好調。
- 来期(2023年8月期)の業績に関して、増収増益の計画を立てており、売上高は25.1%の増益、経常利益は37.3%の増益の見込み。
pluszeroとは
最初にpluszeroがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
pluszeroは、AIとITを軸に各種テクノロジーを統合的に活用し、課題発見から運用まで一気通貫となるソリューションサービスを提供。近年は対話システム構築に注力。
- 設立年:2018年7月
- 上場年:2022年10月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:10月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://plus-zero.co.jp/
業績の推移
次にpluszeroのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びており、2020年10月期から2023年10月期の3年間で売上高は約2.4倍に拡大する計画です。また、2022年10月期に黒字転換し、営業利益率は17.5%となりました。2023年10月期も同水準の営業利益率を予定しています。
事業概要
pluszeroが提供する技術はAIです。提供しているサービスは二つに分けられます。一つ目は、pluszeroが企業から受託して開発するプロジェクト型ソリューション、二つ目は顧客がAIを利用できるように開発したプロダクトを提供するサービス型ソリューションです。なお、以下の資料内で記載のあるAEIは、「Artificial Elastic Intelligence」の略で、人間のように意味を理解できる技術の開発を目指す上での実装可能な技術コンセプトを意味しています。このAEIにより、現在主流とある「ディープランニング」の限界を越えることを目指しているそうです。
2021年10月期まではプロジェクト型ソリューションのみでしたが、2022年10月期よりサービス型ソリューションに関しても、売上高全体に占める割合(約1.8%)は少ないものの売り上げを計上できるようになりました。今後はサービス型ソリューションの割合を増やしていく計画です。
※pluszero「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.6)
中期計画
pluszeroは、2023年1月24日に中期計画を発表しています。中期計画によると、2026年10月期に売上高は27.66億円と2022年10月期の3.8倍に、営業利益は13.84億円と2022年10月期の8.7倍にする計画を立ています。営業利益率は50%とかなり意欲的な目標ですね。
※pluszero「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.47)
pluszero今後、重視するKPIは以下の5つです(KPIになっているのか??)。考え方としては、売上総利益率を維持しつつ、売上高成長率を高水準で維持することを目指しています。それを実現するためにAEI関連の売上高比率を2026年10月期までには42.1%まで増やしていく予定です。
※pluszero「2023年1月 事業計画及び成⾧可能性に関する事項」より抜粋(P.45)
2022年10月期通期決算資料を読み解く
それでは、2022年12月14日に発表されたpluszeroの2022年10月期通期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年10月期通期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は100.1%、経常利益の進捗率は100.4%とほぼ会社計画通りの着地でした。今期はこれまで投資していたAEI関連の売上高を初計上。前年同時期の進捗率は、上場前のため、会社計画を開示していないことから算出できません。
※pluszero「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.5)
次に年度四半期ごとの取引社数/プロジェクト数と1社あたりの売上の推移を見ていきます。前年と比べると取引社数(+13)もプロジェクト数(+29)も増加しており、加えて1社あたりの売り上げも+12.5%(2021年10月期:10.4百万円→2022年10月期:11.7百万円)と増えており、好調なことが伺えます。
※pluszero「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.9)
次に人員面からの各年度の売上高の推移を見ていきます。稼働人数は順調に増えており、加えて人員辺りの単価も増加傾向です。
※pluszero「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.11)
最後にpluszeroが成長するために必要となる人員計画を示します。開示されている2年度は着実に人員を増やしており、2023年10月期もその流れを継続し、16名増(66名→82名)を計画しています。
※pluszero「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.21)
2023年10月期の業績予想
2022年10月期の通期決算時にpluszeroは、来期(2023年10月期)の業績予想について、公表しました。それによると、来期は増収増益の計画を立てており、売上高は25.1%の増益、経常利益は37.3%の増益の見込みです。来期はソフトウェア償却費が増えるためい売上総利益率が下がる見込み。また、事業投資も継続する中、営業利益率とバランスをとる計画にしており、営業利益率は今期と同水準となる予定。
※pluszero「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.17)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
pluszeroのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:116.1億円
- PER:106.68倍
- PBR:14.05倍
- 配当:(2021.10)0円、(2022.10(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:63.1%
- 増収率:(2021.10)43.2%、(2022.10(予))24.9%
- 増益率:(202110)黒字転換、(2022.10(予))37.1%
- 営業利益率:(2021.10)17.5%、(2022.10(予))17.5%
※2023年1月24日終値で算出しております。
pluszeroと同じくAI技術を事業の種として使っている上場企業と比較してみました。いずれの企業も流行の波に乗って100倍強と高PERとなっています。それに裏付けるようにここで挙げたすべての企業が前年度の売上高成長率も30%以上と高い状態です。一方で、営業利益率に関しては、pluszero及びJDSCは、高い営業利益率ですが、他の2社は赤字となっており明暗が分かれています。
※2023年1月24日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にpluszeroの日足の上場以来の株価チャートを示します。公募価格は1650円で、上場初値は2倍以上を付け、そのまましばらく株価は上昇して1か月後には上場来最高値となる8640円を付けました。その後、下落基調となり、一時4000円を割れたものの少し反発しています。
株主構成
pluszeroの株主構成は、以下のとおりです。創業者である小代義行社長が筆頭株主です。このことから、10倍株の探索条件の一つに挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 小代義行 66(26.7)
- 永田基樹 39(15.8)
- 森遼太 39(15.8)
- 小代愛 17 (7.1)
- アビスト 10 (4.2)
10倍株探索条件の可否まとめ
pluszeroは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のすべての条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、pluszeroの銘柄分析を行ってきました。流行のAI技術を用いた企業であるとおり、高い成長率を記録しています。さすが、会社が立ち上がってわずか4年強で上場しただけあります。
中期計画も2026年10月期に営業利益率50%とするという、かなり意欲的なものを出してきています。会社を立ち上げて上場するまでの勢いを継続できれば、この計画の数値も見えてきて今後の成長が期待できるかもしれません。ただ、現状はPERが100倍強(2023/1/24時点)とかなり割高で、中期計画を踏まえても買いづらい状況ではあります。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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