私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、スタメン(4019)です。スタメンは、直近でいうと2022年8月12日の引け後に2022年度第2四半期の決算発表がありました。ちなみに、決算発表後の株価は、約10%と上昇(8/12終値578円→8/26終値634円)しています。(※8/26に約8%と大きく上昇しました。)
本記事では、スタメンの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年8月時点のものです。
ここがポイント
- スタメンは、課題解決を支援するクラウドサービス『TUNAG』が主力。また、近年は新事業として、ファン向けオンラインサロンを運営を支援するプラットフォーム『FANTS』を提供中。
- 業績は急速に伸びており、2022年度は2020年度の売上高の約2倍になる計画。また、営業利益率も着実に改善され、2022年度の営業利益は7.6%となる計画。
- 中期計画によると、2025年12月期に2021年12月期の売上高の約3.2倍となる30億円まで伸ばす計画。
- スタメンの2022年度第2四半期決算は、会社予想に対する進捗率は売上高で46.4%、経常利益で57.6%。前年同時期と比較し、順調に推移
- 第2四半期単独であるが、営業利益率10%超え。
スタメンとは
最初にスタメンがどのような会社かを簡単に解説します。
会社概要
スタメンは、組織の課題解決を支援するクラウドサービス『TUNAG』が主力。ちなみに、「TUNAG」は近年、ちょくちょく話題にのぼる組織の「エンゲージメント(組織への愛着や思いれ)」を高めることを目的としたシステムです。具体的には社員のエンゲージメント度の診断機能や社内SNS、決裁ワークフロー機能などがあります。また、近年は新事業として、ファン向けオンラインサロンを運営を支援するプラットフォーム『FANTS』を提供中です。
- 設立年:2016年1月
- 上場年:2020年12月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:12月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://stmn.co.jp/
業績の推移
次にスタメンのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は毎年急成長を遂げており、今期も36.4%と高い増収率を計画しています。また、営業利益率も当初は赤字でしたが、少しずつ改善してきており、2022年度は7.6%までになる予定です。
エンゲージメントとは
スタメンという会社を理解するためには、エンゲージメントがどのようなものかを理解してもらう必要があります。エンゲージメントは、会社と従業員及び従業員同士の間の相互の信頼関係のことをいい、日本語に直すと所属している組織に対する愛着や思い入れのことです。もともとは欧米の考え方でしたが、エンゲージメントが高い組織の方が業績が向上し、品質トラブルも減少するデータがあることから、近年は日本企業でも経営指標の一つとして扱われるようになりました。
※スタメン「2022年12月_事業計画及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.13)
スタメンは、「TUNAG」で従業員のエンゲージメントをスコアに落とし込み、組織に隠れている課題を見つけて解決するシステム構築までを行います。ITIを利用した組織改革コンサルと思っていただければいいと思います。
FANTS事業
スタメンは、オンラインサロンを簡単に作成し、運営できるプラットフォーム「FANTS」を開発し、このプラットフォームでは新事業として展開中です。プラットフォームを導入したサロン運営者ができることは、会員勧誘の掲示板の利用や決済、ライブ配信などがあります。また、ユーザー側はアプリを導入することで、FANTSに加入しているサロンの中から興味があるところに加入して月額会費を支払うことで、そのサロンの運営者が提供するサービスを受けることができます
中期計画
スタメンの中期計画ですが、2021年末に出された「事業計画及び成長可能性に関する事項」の資料内で出されていました。具体的には、2025年12月期に2021年12月期の売上高の約3.2倍となる30億円まで伸ばす計画です。
※スタメン「2022年12月_事業計画及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.54)
2022年12月期第2四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月12日に発表されたスタメンの2022年12月期第2四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
スタメンの2022年度第2四半期決算は、会社予想に対する進捗率は売上高で46.4%、経常利益で57.6%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が47.9%、経常利益が23.1%でしたので、順調に進んでいます。加えて、スタメンは下期業績の寄与度が高くなる傾向があることからも、決算資料にも言及されているとおり、上方修正の可能性もありそうです。
※スタメン「2022年度第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.19)
特に第2四半期決算の単独ではありますが、営業利益率が10%を超えたことが最も評価できる点ではないでしょうか。また、四半期の業績推移をみても、黒字転換してから苦労はしましたが、ようやく営業利益を順調に伸ばしていることがわかります。売上高もきれいな右肩上がりです。なお、第2四半期単独の事業別の売上高は、TUNAG事業が259,033千円、FANTS事業が31,240千円でした(2022年度第2四半期決算資料P.20の表の数値を単純に加算)。
※スタメン「2022年度第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.5)
※スタメン「2022年第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.6)
直近の話題
直近では次の2点が前期から大きく変わる予定です。
まず、一つ目はTUNAGの新機能を二つ、実装していきます。実装されるのは、ユーザーのニーズに合わせて集計したデータの表示を変更できるカスタムダッシュボード機能と各個人のスケジュールを共有できるカレンダー機能の二つです。
二つ目はFANTS事業において、プラットフォームの提供だけでなく、自社直営のコミュニティを立ち上げて収益性を上げる取り組みを始めたことです。具体的には、コミュニティ型婚活サービスを始めました。
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
スタメンのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:53.4億円
- 最低購入価格:63,400円
- PER:89.17倍
- PBR:5.60倍
- 配当:(2021)0円、(2022(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:68.5%
- 増収率:(2021)47.3%、(2022(予))36.4%
- 増益率:(2021)357.1%、(2022(予))196.9%
- 営業利益率:(2021)3.5%、(2022(予))7.6%
※2022年8月26日終値で算出しております。
私が10倍株の探索条件としている以下の条件のうち、営業利益率を除いた条件を満たしています。
- 増収率(20%以上)
- 営業利益率(10%以上)
- 時価総額(200億円未満)
- 上場から5年以内
スタメンと類似の事業(SaaS関連)を行っている上場企業と比較をしてみました。カオナビとラクスは、以下の表でPERは「ー」と表記されていますが、これは100倍を超えているためです。つまり、スタメンもPERは82.5倍と高いのですが、今回比較したSaaS関連企業4社の中ではもっとも低いです。なお、誤解を生むといけませんので以前に紹介したトヨクモ、rakumo、Sharing Innovationsも、SaaS関連企業ですが、これらのPERは22~45倍なので、すべてのSaaS関連企業の中でもっともPERが低いわけではありません。
現在、市場が大きく成長している段階のために売上高の伸びはいずれの企業も高いです。
※2022年8月26日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にスタメンの週足の上場以来の株価チャートを示します。2021年11月に公募価格は880円を下回っており、それ以後も下降し続けています。上場以降、ほぼ一貫して下落し続けている状態です。なお、7/25に付けた428円が底となり、上昇を続けており、加えて8/12に発表された決算内容も評価できるものだったことから、上昇トレンドに転換した可能性があります。
株主構成
スタメンの株主構成は、以下のとおりです。スタメンを創業した加藤厚史社長が筆頭株主ですので、10倍株の探索条件の一つに挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 加藤厚史 342(40.6)
- (株)スターフロンツ 60 (7.1)
- ジャフコSV5共有投資事業組合 49 (5.9)
- 大西泰平 40 (4.8)
- 日本カストディ信託口 34 (4.0)
10倍株探索条件の可否まとめ
スタメンを調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、スタメンの銘柄分析を行ってきました。昨年度までは収益を稼げずに苦労していましたが、ここまでの取り組みの成果が出てきたため、営業利益率が向上し、四半期単独ではありますが、10%以上になりました。また、今期の進捗率も良好のために上方修正も期待できます。
中期計画では、2025年度に2022年度売上高(会社計画)の2.5に伸ばす予定で、急成長させる予定です。しかし、たとえ売上高の増収が計画通り達成に加えて営業利益率が15%(2022年(計画)7.6%)まで改善することまで見込んだとしても、現在のPER80倍超は私は割高と感じました。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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