私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、ココペリ(4167)です。ココペリは、直近でいうと2022年8月15日の引け後に2023年度第1四半期の決算発表がありました。ちなみに、決算発表後の株価は、約12%と上昇(8/15終値745円→8/30終値834円)しています。
本記事では、ココペリの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年8月時点のものです。
ここがポイント
- ココペリは、Saasにて金融機関を通じて、中小企業支援サービスを提供するプラットフォーム「BigAdvance」を運営。
- 売上高は着実に伸びており、2019年3月期から2022年3月期の3年間で売上高は約8.9倍。営業利益率は、ここ2年間は20%を超えていましたが、2023年3月期は大幅減益の予想。
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中期計画によると、2025年3月期の売上高は2022年3月期の約2.5倍の4,040百万円、2025年3月期の営業利益は同じく2022年3月期の約2.3倍の808百万円の予定。
- 2023年度第1四半期決算によると、売上高の進捗率は21.4%、経常利益の進捗率は300%。ただし、経常利益は今期減益予想であり、一時的に進捗率が高く見えている。前年度と比べると、売上高の進捗は遅れ気味。
- 四半期業績推移と「BigAdvance」の会員企業数の推移をみる限り、現行サービスのみでは事業を広げる余地がなくなってきており、成長が鈍化している。成長投資により、ユーザー数の拡充と新規サービスの立ち上げを模索中。
ココペリとは
最初にココペリがどのような会社かを簡単に解説します。
会社概要
ココペリは、中小企業支援プラットフォーム「BigAdvance」を運営しています。このプラットフォームは金融機関を通じてSaaSで中小企業に提供しています。また、中小企業向けにDX支援(ポータルサイト作成など)も実施。
- 設立年:2007年6月
- 上場年:2020年12月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:3月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.kokopelli-inc.com/
業績の推移
次にココペリのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びており、2019年3月期から2022年3月期の3年間で売上高は約8.9倍になりました。営業利益率は、ここ2年間は20%を超えていましたが、2023年3月期は大幅減益の予想です。
BigAdvanceとは
ココペリが提供しているサービスである「BigAdvance」ですが、特徴は売り込み先にあります。企業向けSaaSは、多くのIT企業(サイボウズ、Sansan、ラクスなど)が手掛けていますが、だいたいは売り込みは起業へ直接実施しています。しかし、ココペリは金融機関に売り込みを行い、応じた金融機関を通して中小企業へ導入するようにアプローチをかけている点が異なっています。ようは、金融機関が代理店となっているイメージです。
なお、提供しているサービスは、以下のとおり、ひととおりのサービスを用意しているので、ココペリと契約すればDXは事足りる状態です。(他社ならば、いろいろな会社と契約していく必要があります。)
※ココペリ「2023年3月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.13)
中期計画
決算資料には以下のとおり、3か年の中期計画で達成すべき指標が示されていました。売上高については、明確な数値での提示ではありませんが、CAGR(年平均成長率)35%及び2025年3月期の営業利益率20%の数値から算出すると、2025年3月期の売上高は2022年3月期の約2.5倍の4,040百万円、2025年3月期の営業利益は同じく2022年3月期の約2.3倍の808百万円となります。
※ココペリ「2023年3月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.41)
2023年3月期第1四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月15日に発表されたココペリの2023年3月期第1四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2023年度第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は21.4%、経常利益の進捗率は300%でした。経常利益の進捗率が第1四半期の割には100%を超えて大幅に超過している点に関しては、今期は成長のための投資(人材採用、地方営業所開設、製品開発に充当)を増やすことから減益予定のために進捗率は一時的に高く見えているだけです。また、前年同時期の進捗率は、売上高が24.3%、経常利益が41.2%でしたので、売上高を見る限り、少し進捗が遅れていると感じます。
※ココペリ「2023年3月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.16)
進捗率よりも気になるのは四半期ごとの売上高の推移のグラフです。このグラフから見る限り、例年ならば1Qで前年度4Qよりも売上高を伸ばす傾向にあるにもかかわらず、2023年3月期1Qは2022年3月期4Qからほとんど売上高が伸びていない点です。
※ココペリ「2023年3月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.17)
この理由は、業績と相関が強い会員企業数との対比することでよく理解できます。2023年3月期第1四半期はユーザー数が減少しており、加えて、棒グラフの経常からもここしばらくはユーザー数の伸びが鈍化していることも読み取れます。なお、ココペリの説明では、伸びの鈍化の理由としては、新規にサービスを導入した金融機関がなかったことが主因とのことです。
※ココペリ「2023年3月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.22)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
ココペリのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:66.0億円
- PER:1097.37倍
- PBR:3.51倍
- 配当:(2022.3)0円、(2023.3(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:86.5%
- 増収率:(2022.3)60.4%、(2023.3(予))21.8%
- 増益率:(2022.3)49.0%、(2023.3(予))-97.2%
- 営業利益率:(2022.3)21.7%、(2023.3(予))0.5%
※2022年8月30日終値で算出しております。
ココペリと同じくSaaS型サービスをメインで行っている上場企業と比較してみました。今回、比較した上場企業はSaaSの旗頭といってもよい企業をあえて選んでみたのですが、どの企業も前年度は売上高は大きく伸ばしていますが、収益は伸びていないです。決算資料を読んでいないので、推察になりますが、SaaS型サービスは最近は競争が激しくなっていることから、今後の成長のために投資している企業が多いためではないでしょうか。
※2022年8月30日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にココペリの週足の上場以来の株価チャートを示します。ココペリの公募価格は1600円で、一時8900円近くまで上昇しましたが、その後、下降し続けて現在は公募価格の約半値(800円前後)まで下がっています。
株主構成
ココペリの株主構成は、以下のとおりです。ココペリを創業した近藤繁社長が筆頭株主ですので、10倍株の探索条件の一つに挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 近藤繁 239(30.3)
- 森垣昭 39 (4.9)
- (株)東広 35 (4.4)
- 近藤淳 28 (3.5)
- 松尾幸一郎 26 (3.3)
10倍株探索条件の可否まとめ
ココペリは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、ココペリの銘柄分析を行ってきました。昨年度の途中までは快調に業績を伸ばしてきましたが、新規に加入する企業数が少なくなったことで成長が止まってきています。
ココペリ側のその点は理解しており、2023年3月期は人材採用や開発投資を積極的に実施する計画です(この投資により営業利益は、前期に比べて97%の大幅減益を予定)。この投資では地方営業所を開設してユーザー企業を開拓することに加えて、新サービスの拡充により顧客単価を上げることを目標としています。このうち、決算資料内で示している新サービスの概要は中小企業のDX支援サービスとあるだけで中身はまだふわっとしている印象なので、早いうちに明確化してほしいと感じました。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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