私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、アジアクエスト(4261)です。フォースタートアップスは、直近でいうと2022年8月12日の引け後に2022年12月期第2四半期の決算発表がありました。ちなみに、決算発表後の株価は、約14%と大きく下落(8/12終値2964円→9/5終値2600円)しています。
本記事では、アジアクエストの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- アジアクエストは、企業のDX支援コンサルやシステム・プロダクト開発が事業の主力。
- 売上高は二桁成長で着実に増加し、2022年12月期の売上高は2019年12月期の約1.7倍。営業利益率は2021年12月期は二桁を超え。
- 2022年12月期第2四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は46.6%、経常利益の進捗率は58.3%で、前年同時期の進捗率と比較し、少し遅れ気味。
アジアクエストとは
最初にアジアクエストがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
アジアクエストは、企業のDX支援コンサルやシステム・プロダクト開発が事業の主力。NTT西日本とは、資本業務提携し、営業力強化に。また、エンジニアの採用に積極的。現在、建設業市場を開拓中。
- 設立年:2012年4月
- 上場年:2021年12月
- 業種分類:情報通信
- 決算:12月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.asia-quest.jp/
業績の推移
次にアジアクエストのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は二桁成長で着実に増えており、2022年12月期の売上高は2019年12月期の約1.7倍になりました。営業利益率も少しずつ上昇し、2021年12月期は二桁を超えました。
事業の概要
アジアクエストは、企業のDX支援コンサルやシステム・プロダクト開発が柱です。この市場は、近年、多くの企業が省人化及び効率向上のために取り入れており、市場規模は2030年度には2019年度の約4倍の約3兆円まで拡大するとされています。(出典:株式会社富士キメラ総研『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 』)
※アジアクエスト「2022年3月_事業計画及び成⻑可能性に関する事項」より抜粋(P.14)
また、ITサービスは、従来のシステムインテグレータ(SI)が行っていたシステム開発からクラウド活用やIoTとの連携、AIによるビッグデータ解析(データサイエンス)、デジタルマーケティングなどといった第3のプラットフォームに切り替わっている状況です。この第3のプラットフォームサービスの市場規模は、2022年は3兆2,656億円だったものが2030年には約9兆円にも拡大するとされています。(出典:経済産業省『参考資料(IT人材育成の状況などについて』)
※アジアクエスト「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.10)
アジアクエストは、この第3のプラットフォームサービスに注力している企業であり、競合他社との差別化は一つの分野に特化していない総合力とのことです。
※アジアクエスト「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.11)
成長戦略
アジアクエストは成長戦略として次の6個を上げています。
- エンジニア人員増強による国内事業基盤強化
- コンサルティング領域の拡大
- 技術領域の拡大
- 海外事業基盤の拡充
- アライアンスの拡大
- プロダクト&サービス展開の拡充
このうち、1~3については、現状の事業の取り組みを強化する策なので、ここでの説明は省きます。
4の海外事業基盤の拡充ですが、現時点では日系企業の海外現地子会社に対して、営業を仕掛けて顧客数と売上高の拡大を図っていく方針とのことです。現在はインドネシアとマレーシアに進出済みで今後は日系企業の拠点数が多いタイ、フィリピン、ベトナムなどの東南アジア圏への進出を検討しているとのことです。
5のアライアンスの拡充はおもに営業力の強化につなげる計画とのことで、昨年度NTT西日本との業務提携を行い、実績につなげていく予定とのことです。
6の取り組みは、私は面白いと感じましたが、ここも多くの企業が参入している領域であり、アジアクエストがどのように差別化していくのか、今後注視していきたいと思います。
2022年12月期第2四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年8月12日に発表されたアジアクエストの2022年12月期第2四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年12月期第2四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は46.6%、経常利益の進捗率は58.3%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が49.7%、経常利益が61.2%でしたので、少し遅れています。
※アジアクエスト「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.15)
前年度と比べて進捗が悪い点については、少し心配な点があります。2021年度分のみしか四半期ごとの推移のデータ開示されていませんが、前年度の2021年12月期の第3四半期及び第4四半期の売上高は、第1四半期及び第2四半期とほぼ同じ程度しかありません。今年度も同様の傾向となるとすれば、2022年12月期は2400~2500百万円の着地となり、会社計画(2663百万円)に対して下振れする可能性があります。
※アジアクエスト「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.17)
一方で、2022年12月期は、前年度(+16人)よりも第2四半期内でエンジニアを多く採用できていること(+25人)ことから、その分の上積みが見込める可能性があります。そのため、第3四半期決算で見極めていくほうが良いと思いました。
※アジアクエスト「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.16)
なお、営業利益に関しては、前年度の2021年12月期は、第4四半期で上場費用を計上している分、利益が押し下げられていましたが、2022年度はありません。そのため、前年度の四半期ごとの営業利益の推移をみると、下期は第2四半期の営業利益(75百万円)の2倍程度に着地する予想されます。期分の191百万円と合わせると、340百万円前後となり、会社計画通り(388百万円)に着地する可能性が高いと思われます。なお、売上高が会社計画通りに進んだ場合、販管費及び開発費などの一時的な支出がないのであれば、営業利益は上振れする可能性がありそうです。(※そのあたりの費用に関するコメントは、資料内に記載がないため、現時点で判断はできません)
※アジアクエスト「2022年12月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.19)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
アジアクエストのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:38.1億円
- PER:16.11倍
- PBR:3.49倍
- 配当:(2021.12)0円、(2022.12(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:51.6%
- 増収率:(2021.12)24.2%、(2022.12(予))19.1%
- 増益率:(2021.12)189.0%、(2022.12(予))15.6%
- 営業利益率:(2021.12)13.1%、(2022.12(予))12.7%
※2022年9月5日終値で算出しております。
アジアクエストと同じくデジタルトランスフォーメーションに関する事業をメインで行っている上場企業と比較してみました。PERの観点では、アジアクエストは20倍未満で競合と比べて割安です。ただし、その分、成長率が低く、その点を織り込んでいるようです。
※2022年9月5日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
アジアクエストの週足の上場以来の株価チャートを示します。公募価格は2430円で、2022年2月末~3月上旬にかけて、公募価格割れしましたが、その後は上昇し、現在は公募価格付近です。ここ半年は2500円近辺が下値となり反発しています。
株主構成
アジアクエストの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある桃井純社長が筆頭株主です。このことから、10倍株の探索条件の一つに挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 桃井純 47(33.6)
- JHDアセットマネジメント 40(28.5)
- スターティアHLD 8 (5.7)
- SBI証券 7 (5.6)
- 楽天証券 4 (2.9)
10倍株探索条件の可否まとめ
アジアクエストは、調べた結果、以下で私が掲げている10倍株の探索条件のうち、増収率以外の4つを満足しています。ただし、2022年度の増収率は19.1%なので、ほぼ達成している状況です。
- 増収率(20%以上):×
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、アジアクエストの銘柄分析を行ってきました。同社は、市場が拡大続けているデジタルトランスフォーメーション事業に注力しているために今後の成長も期待が持てます。2022年12月期は、現状進捗が遅れており、前年度の実績と同様の経過をたどるならば、売上高は会社計画未達の可能性がありそうです(営業利益は達成できる見込み。)
一方で、市場の拡大をしているということは競合他社も多いことを意味しており、何を武器に差別化していくかが必要になります。今回、銘柄分析をした限りではIT系の知識がないのも原因だとは思いますが、その点が明確でないと感じました。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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