私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、アールプランナー(2983)です。アールプランナーは、2022年9月8日の引け後に2023年度第1四半期の決算発表を行いました。ちなみに、決算発直前の株価は1158円(9/8終値)です。
本記事では、アールプランナーの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- アールプランナーは、名古屋地盤の住宅メーカーであり、注文住宅と建売住宅が2本柱。近年、首都圏へ進出中。初配当。
- 売上高は毎年着実に二桁成長を続けており、2019年1月期から2022年1月期の3年間で売上高は約1.7倍に拡大。2022年1月期は、営業利益率が5%超えた。
- 戸建住宅事業において、世帯年収で最大ボリュームゾーンとなる400~800万円の人が購入しやすい価格帯の住宅をメインにしている。
- 営業指標は従来型の住宅展示場への来場者数ではなく、デジタルマーケティングによる反響を重視。
- 売上高は据え置きだが、営業利益・経常利益・純利益はそれぞれ33.3%、38.6%、39.2%下方修正。その結果、今年度の会社計画は増収減益となる。
- 2023年度1月期第2四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は46.8%、経常利益の進捗率は20.9%(下方修正後:34.1%)。前年同時期の進捗率と比べて、経常利益に関しては下方修正後でも少し遅れている。
アールプランナーとは
最初にアールプランナーがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
アールプランナーは積水ハウス出身の古賀会長が創業した名古屋地盤の住宅メーカーであり、注文住宅と建売住宅が2本柱。近年、首都圏へ進出中。今期から配当も出すように。
- 設立年:2007年1月
- 上場年:2021年2月
- 業種分類:不動産
- 決算:1月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.arrplanner.co.jp/
業績の推移
次にアールプランナーのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は毎年着実に二桁成長を続けており、2019年1月期から2022年1月期の3年間で売上高は約1.7倍に拡大しました。また、昨年度、営業利益率は5%を超えました。ただし、今期は下方修正のために減益となり、営業利益率は3.3%となりました。
事業の概略
アールプランナーが行っている事業は、戸建住宅事業と中古再生・収益不動産事業の二つに分けられます。このうち、戸建住宅事業は、さらに注文住宅事業・分譲住宅事業・不動産仲介事業の3つに分類できます。
※アールプランナー「2022年4月_事業計画及び成⻑可能性に関する事項」より抜粋(P.9)
二つの事業のうち、2022年1月期では売上高構成比が97.6%と戸建住宅事業が大部分を占めています。この戸建住宅事業については、年々新規着工数が減っていますが、国内市場規模としては14兆円と大きな市場です。
※アールプランナー「2022年4月_事業計画及び成⻑可能性に関する事項」より抜粋(P.20)
この国内住宅市場に対して、アールプランナーは新興企業となります。同社はこの市場の攻略戦略として、住宅購入者の最大ボリュームに顧客ターゲットに置き、差別化しています。
※アールプランナー「2022年4月_事業計画及び成⻑可能性に関する事項」より抜粋(P.22)
最大ボリュームの顧客ターゲットの基準は、世帯年収と地域です。このうち、世帯年収は以下のとおり、全世帯の約60%にあたる世帯年収400~800万円を対象としており、その年代が購入できる建物価格1800~2500万円の住宅に注力しています。
※アールプランナー「2022年4月_事業計画及び成⻑可能性に関する事項」より抜粋(P.21)
また、営業・販売地域も新築戸建て数が多い東海地方と首都圏に絞っています。特に近年は首都圏への営業所の出店を増やしています。
※アールプランナー「2023年1月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.7)
販売戦略にも特徴があります。従来の住宅メーカーは、住宅展示場などを使った販売が主流でしたが、アールプランナーはデジタルマーケティングを用いた営業を重視しています。その一点が営業指標をどれを用いているかに表れています。他の住宅メーカーは住宅展示場の来場者数などをキーパラメーターとしているのですが、アールプランナーはWeb反響率やInstagramフォロワー数の伸び率をキーパラメーターとしています。
2023年1月期第2四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年9月8日に発表されたアールプランナーの2023年1月期第2四半期決算について、読み解いていきましょう。
下方修正の発表
今回の決算に肝は、下方修正の発表です。下方修正の内容ですが、売上高は会社計画から据え置きでしたが、ウクライナ情勢の長期化やインフレ圧力、円安による影響が大きく、営業利益・経常利益・純利益は下方修正となりました。修正幅は、従来の会社予想から、営業利益は33.3%、経常利益は38.6%、純利益は39.2%、下げています。
※アールプランナー「2023年1月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.16)
会社予想に対する進捗率
2023年度1月期第2四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は46.8%、経常利益の進捗率は20.9%(下方修正後:34.1%)でした。前年同時期の進捗率は、売上高が46.5%、経常利益が46.7%でしたので、経常利益に関しては下方修正後でも少し遅れが出ているといえます。加えて、直近の円安の影響も受けてさらに材料の輸入が高騰する可能性が高く、そのあたりについても注視が必要と感じました。一方で、売上高は過去最高を出しているので、順調と言えます。
※アールプランナー「2023年1月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.8)
決算資料で気になったのは、受注高や受注残高、受注棟数が前年同時期と比べて、減少していることです。マーケティング施策を行い、改善するとありますが、いずれも住宅メーカーとしては今後の業績にかかわってくるものなので、今後の成長が鈍らないのか気になりました。なお、アールプランナーが重視している先行指標であるデジタルマーケティングに関する各種指標(会員ストック数、Web反響数、フォロワー伸び率)は、いずれも堅調に推移していました。
※アールプランナー「2023年1月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.14)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
アールプランナーのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:62.2億円
- PER:6.17倍→10.2倍(下方修正後)
- PBR:1.59倍
- 配当:(2022.1)0円、(2023.1(予))15円
- 予想配当利回り:1.30%
- 自己資本率:88.4%
- 増収率:(2022.1)27.5%、(2023.1(予))19.4%
- 増益率:(2022.1)164.4%、(2023.1(予))7.6%
- 営業利益率:(2022.1)5.4%、(2023.1(予))4.9%
※2022年9月8日終値で算出しております。
アールプランナーと同じ住宅メーカーの上場企業と比較してみました。こうしてみると、アールプランナーはグロース株にもかかわらず、他の成長している競合と比べてPERは低いです。(※下方修正したことにより、この有意差はなくなりました。)
※2022年9月8日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にアールプランナーの週足の上場以来の株価チャートを示します。公募価格は552.5円(1対4の株式分割を考慮)で、上場からほぼ公募価格を下回っていません。また、昨年度は一時期、人気化し、最安値から約5倍の2837.5円まで値上がりしました。その後、ウクライナ戦争がはじまったことによるウッドショックの影響により、株価は下降し、現在の株価は1158円です。
株主構成
アールプランナーの株主構成は、以下のとおりです。創業者の古賀祐介会長が上位株主です。また、筆頭株主であるKo.International(株) についても、古賀会長の親族企業であり、第2位の梢政樹氏は社長です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- Ko.International(株) 250(18.7)
- 梢政樹 235(17.6)
- TreeTop(株) 200(15.0)
- 古賀祐介 185(13.8)
- 自社従業員持株会 24 (1.8)
10倍株探索条件の可否まとめ
アールプランナーは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、増収率と営業利益率の2条件を除いた3つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):×
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、アールプランナーの銘柄分析を行ってきました。住宅市場で急成長を遂げており、まさにグロース株にふさわしい銘柄だと思います。
しかし、今年に入ってウクライナ情勢が悪化したことにより、円安やウッドショックなどの材料費高騰の影響を受けて、利益面では苦戦することになりました。また、インフレリスクや円安については、さらに悪化していることから、今後、どのように対応していくのか注視が必要です。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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