私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、ブレインズテクノロジー(4075)です。ブレインズテクノロジーは、2022年9月9日の引け後に2022年7月期の通期決算を発表しました。ちなみに、決算発直前の株価は1175円(9/9終値)でした。さて、週明けの株価はどう動くでしょうか。
本記事では、ブレインズテクノロジーの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- ブレインズテクノロジーは、AIが実装されたソフトウェア販売事業が柱で、異常検知にたけたAIプラットフォームと企業内検索エンジンが主力商品。
- 業績は着実に伸びており、2022年度の売上高は2019年度を比べて約2.2倍に拡大。ただし、2022年度の増収率は10%を切り、少し伸び悩み。営業利益率はここ3年間は11~18%と高い水準。
- 今後の成長戦略として、既存技術の適用範囲拡大と海外展開を模索中。また、次世代事業として、自動化が困難な業務領域に焦点を当てて研究開発を実施。
- 2022年7月期の通期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は100.3%、経常利益の進捗率は118.5%となり、経常利益に関しては、上振れしています。ただし、2022年7月期は下方修正を行っています。
- 2023年7月期は、2022年7月期と比べて、売上高は22.7%の増収、経常利益は3.8%の増益を計画。
ブレインズテクノロジーとは
最初にブレインズテクノロジーがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
ブレインズテクノロジーは、AIが実装されたソフトウェア販売事業が柱で、異常検知にたけたAIプラットフォームと企業内検索エンジンが主力商品。ターゲット顧客は製造業や情報通信業、建設業。海外展開を検討中。また、AIによる作業のロボテックス解析により新規事業を模索。
- 設立年:2008年8月
- 上場年:2021年7月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:7月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.brains-tech.co.jp/
業績の推移
次にブレインズテクノロジーのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びており、2022年度の売上高は2019年度と比べて、約2.2倍に伸びました。ただし、2022年度は少し伸び悩み、増収率は10%を切っています。営業利益率は直近3年度決算では11~18%と高い水準です。なお、2022年7月期は期中で下方修正(売上高:当初1162百万円→修正後931百万円、経常利益:当初231百万円→修正後146百万円)を行っていますが、最終的に利益については、上振れしました。
ブレインズテクノロジーが提供するサービス
ブレインズテクノロジーは、他のAIソリューションを提供している企業とは異なり、導入した企業自身がAIを用いてデータ分析を行うソフトを提供することを事業としています。(AIソリューションを行っているところは、コンサルの役割を担っていることが多い。)具体的には異常検知ソリューションと企業内検索エンジンの二つが主力商品となっています。
まず、異常検知ソリューションでは、製造現場や建設現場などに設置したセンサで取得したデータや動画像を有効に活用できるように、AI分析にかかわる一連のプロセスを支援するプラットフォーム(ソフトウェア)と提供しています。
※ブレインズテクノロジー「2022年7月期 第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.29)
企業内検索エンジンは、企業内にあるファイルサーバーやポータルサイト、オンラインストレージにある文書を一括して検索できるソフトウェアです。
※ブレインズテクノロジー「2022年7月期 第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.29)
なお、売上高構成比は、ストック売り上げも着実に増えてきていますが、現状はフロー売り上げが主流です。
※ブレインズテクノロジー「2022年7月期 第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.29)
成長戦略
ブレインズテクノジーが思い描く成長戦略は、大きく分けて2つあり、「既存技術の適用範囲拡大及び深耕」と「次なる成長ドライバーの創出」です。
一つ目の既存技術分野に関しては、日本国内のAIシステム市場が2021年2119億円から2025年に4909億円に拡大(出典︓IDC Japanプレスリリース「国内AIシステム市場予測を発表」___2021年6月2日)することに見越し、着実にできること及び対応できる業界を増やしていく方針です。なお、決算資料内には記載はありませんでしたが、四季報の情報によると海外展開も模索中とのことです。
二つ目の次なる成長ドライバーの創出では、現在、人しかできず、自動化しにくい品質検査作業に関して、AIによる解析を導入し、より高精度の判定ができるように研究開発を実施しています。
※ブレインズテクノロジー「2022年7月期 第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.36)
2022年7月期通期決算資料を読み解く
それでは、2022年9月9日に発表されたブレインズテクノロジーの2022年7月期の通期決算資料について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年7月期の通期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は100.3%、経常利益の進捗率は118.5%となり、経常利益に関しては、上振れしています。上振れに対しては、決算資料中に特に理由の記載はありませんでした。なお、2022年7月期は、大型案件のライセンス売上計上に遅延が発生したことから、期中で下方修正を行っており、上記の進捗率は下方修正後の数値を使用し、算出しています。
※ブレインズテクノロジー「2022年7月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.14)
次に四半期ごとの売上高の推移を見ていきます。取引先として大手企業が多くことから、取引先の決算期の影響を受けやすく、3Qの売上⾼が⾼くなる傾向(季節性)があることがわかります。
※ブレインズテクノロジー「2022年7月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.15)
2023年7月期の会社計画
2022年7月期の通期決算資料内に来年度(2023年7月期)の会社計画が発表されています。2023年7月期は、2022年7月期と比べて、売上高は22.7%の増収、経常利益は3.8%の増益を計画しています。経常利益が少ない理由は、「自社ソフトウェア製品強化及び組織体制強化への投資を優先」するためとのことです。
※ブレインズテクノロジー「2022年7月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.31)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
ブレインズテクノロジーのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:63.5億円
- PER:47.39倍(2023年7月期予想で計算)
- PBR:4.87倍
- 配当:(2022.7)0円、(20237(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:78.5%
- 増収率:(2022.7)9.4%、(2023.7(予))22.6%
- 増益率:(2022.7)21.8%、(2023.7(予))3.5%
- 営業利益率:(2022.7)18.6%、(2023.7(予))15.8%
※2022年9月9日終値で算出しております。
ブレインズテクノロジーと同じくAI技術をコアにして事業を行っている上場企業と比較してみました。AI関係の市場は、現在、急拡大中なことから、どの企業も事業の伸長が大きいです。なお、今回比較した中では、ブレインズテクノロジーズはPERの観点では高めです。
※2022年9月9日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にブレインズテクノロジーの週足の上場以来の株価チャートを示します。上場以来、下降トレンドであり、公募価格は1780円で、2022年4月以降は公募価格よりも低い株価で推移しています。
株主構成
ブレインズテクノロジーの株主構成は、以下のとおりです。創業者であり現社長の齋藤佐和子氏が筆頭株主です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 齋藤佐和子 267(49.8)
- 中澤宣貴 60(11.1)
- NVCC7号投資事業組合 30 (5.5)
- 河田哲 20 (3.7)
- 今野勝之 20 (3.7)
10倍株探索条件の可否まとめ
ブレインズテクノロジーは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件をすべての条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、ブレインズテクノロジーの銘柄分析を行ってきました。AIを使いこなすためのソフトを主力事業としていることから、AI関係が分析やコンサル業をメインにしている競合との差別化されていると思います。また、今年度と来年度の売上高の伸び率を見る限り、成長が鈍化しているきらいもありますが、決算資料内で海外展開や新サービスを提供しようとしているところを見せていますので、今後を期待したい銘柄だと思いました。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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