私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、アピリッツ(4174)です。アピリッツは、2022年9月13日の引け後に2023年1月期第2四半期の決算発表を行いました。なみに、決算発直前の株価は1165円(9/13終値)です。
本記事では、アピリッツの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年9月時点のものです。
ここがポイント
- アピリッツは、ECサイト、Webシステムの受託開発等を行うWebソリューション事業と自社が運営するオンラインゲーム事業を実施。
- 売上高は着実に伸びており、2023年1月期は、2021年1月期の約2倍に拡大する計画。営業利益率は、ここ5年間は5%前後。
- 2022年8月1日付で「デジタル人材育成派遣事業」のセグメントを新たに追加。
- 2022年6月30日に、上方修正を発表(売上高5,654百万円→7,000百万円、経常利益410百万円→440百万円)。
- メタバース領域に転用可能な基本研究を開始。
- 2023年1月期第2四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は44.7%、経常利益の進捗率は34.8%。前年同時期の進捗率は、売上高が46.2%、経常利益が0%でしたので、前期よりは進捗が良好。
- 自社株買い(発行済み株式総数に対する割合1.23%相当を市場から買い上げ)を発表
アピリッツとは
最初にスアピリッツがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
アピリッツは、ECサイト、Webシステムの受託開発等を行うWebソリューション事業と自社が運営するオンラインゲーム事業を実施。短期的には既存事業の人材への投資を行う一方で、中長期的には新規事業及び新サービスを開発中。
- 設立年:2000年7月
- 上場年:2021年2月
- 業種分類:情報・通信業
- 決算:1月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 スタンダード市場
- ホームページhttps://appirits.com/
業績の推移
次にアピリッツのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びており、2023年1月期は、2021年1月期の約2倍に拡大する計画。営業利益率は、ここ5年間は5%前後。
事業内容
アピリッツが持つ事業の概要を以下の図で示します。図のとおり、2022年1月期第一四半期時点では、アピリッツの事業は、ウェブビジネス事業とオンラインゲーム事業の二つに分けられ、現時点ではこの二つの売り上げ構成比はほぼ半々です。なお、2022年8月1日付で「デジタル人材育成派遣事業」のセグメントを新たに追加し、3つの事業となります。
※アピリッツ「2023年1月期第四半期 決算説明資料」より抜粋(P.8)
このうち、オンラインゲーム事業では、『式姫Project』新作ゲームは鋭意開発中であり、加えてこれまでの実績を活かしてメタバース領域に転⽤可能な基礎技術の研究も並⾏して進⾏しているとのことです。
※アピリッツ「2023年1月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.44)
成長戦略
決算資料内に合ったアピリッツの成長戦略を提示します。これによると、2026年1月期までに売上高125億円を目指すとあり、4年間で2022年1月期の約2.6倍にする計画です。なお、2022年6月に実施した上方修正により、すでに2023年1月期で70億円の予定であることから、1年前倒しで計画が進んでいます。
※アピリッツ「2023年1月期第1四半期 決算説明資料」より抜粋(P.50)
成長戦略の施策としてアピリッツが挙げているのは、次の二つです。
- 人員拡大による既存事業の拡大
- M&Aによる規模拡大
人員拡大については、特にWebソリューション事業において、デジタル人材の確保を目指しています。また、人材確保のためのM&Aも検討する方針です。オンラインゲーム事業については、事業移管やゲームの運営の受託を増やしていく方針です。
加えて、2023年第1四半期決算の説明資料内にはありませんが、新たに事業化したクリエイター人材の派遣先(ゲーム会社など)を開拓していくことも行っていくことになります。
2023年1月期第2四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年9月13日に発表されたアピリッツの2023年1月期第2四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2023年1月期第2四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は44.7%、経常利益の進捗率は34.8%でした。前年同時期の進捗率は、売上高が46.2%、経常利益が0%でしたので、前期よりは進捗が良好です。特に経常利益に関しては、前期は0百万円でしたので、増益となっています。また、会社のコメントにも当初から下期偏重予算のため、順調とのことです。(前年度と違い、子会社2社の売上高211百万円が加算されています。)
※アピリッツ「2023年1月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.12)
次に売上高の四半期推移を示します。以下の図でもわかる通り、第2四半期は第1四半期よりも28%増収となっています。特に「ユニゾンエアー」の共同運営権取得が大きく寄与し、オンライン事業が大きく増収しています。
※アピリッツ「2023年1月期第2四半期 決算説明資料」より抜粋(P.13)
なお、第1四半期はデジタル人材育成事業はオンライン事業に含まれていましたので、正味259百万円の増収となっています。また、Webソリューション事業は図では停滞しているように見えますが、こちらもオンライン事業と同様に一部の売り上げ(22百万円)がデジタル人材事業に移っているため、こちらも前四半期期より約4.5%増収となっています。主力であるこの二つの事業とも順調に業績を伸ばしているといえると思います。
自社株買い
決算発表と同時に自社株買いを発表しています。取得株数は50,000株(発行株式総数に対する割合1.23%)です。購入した自己株式は、M&A等への活⽤もしくは当社グループの役員‧従業員に対する株式報酬への活⽤に用いる予定とのことです。
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
アピリッツのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:47.4億円
- PER:17.18倍
- PBR:2.37倍
- 配当:(2022.1)5円、(2023.1(予))10円
- 予想配当利回り:0.86%
- 自己資本率:68.3%
- 増収率:(2022.1)23.3%、(2023.1(予))46.0%
- 増益率:(2022.1)-3.9%、(2023.1(予))100.0%
- 営業利益率:(2022.1)4.9%、(2023.1(予))6.4%
※2022年9月13日終値で算出しております。
株価分析
以下にアピリッツの上場以来の株価の週足チャートを示します。公募価格は393.3円(1対3の株式分割を考慮)で、上場以来、公募価格を下回ったことはありません。なお、2021年8月に上場直後に最高値2559.9円を付けた後は、長い間、下降し続けました。その後、2021年末に底値496円を付けた後は、再度、上昇トレンドに入っており、現在は底値の約2.3倍、公募価格の約3倍となっています。
株主構成
アピリッツの株主構成は、以下のとおりです。現社長の田順児氏が上位株主です。ただし、アピリッツにはいわゆる創業者がいない企業のため、10倍株の探索条件の一つに挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致していません。
- (株)エイ・ティー・ジー・シー 155(39.0)
- クリプトメリア(株) 32 (8.0)
- 魚谷幸一 18 (4.6)
- 和田順児 13 (3.4)
- 三浦印刷 9 (2.2)
10倍株探索条件の可否まとめ
アピリッツは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、オーナー経営者かつ上位株主であることを除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):〇
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:×
まとめ
ここまで、アピリッツの銘柄分析を行ってきました。分析した結果、感じたのは業績拡大のために新しい領域やサービスに積極的に挑戦する姿勢を感じました。6月末に発表した上方修正があまり評価されていませんが、これは次の決算までに見極めようという姿勢が大きいかもしれません。
一方で、M&Aに費やす費用が多いためか、ゲームやWebソリューションを売りにしている企業の割には利益率が低い点が気になります。単に成長投資に回しているだけであればいいのですが、競争力がないために価格競争に陥っていないかが注視したいと思いました。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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