ほっこり10倍株研究所(仮名)

どうしても働きたくない40代サラリーマンがニートになるべく、10倍株を当てる夢を見つつ、投資に試行錯誤する様子を記したブログです。

【銘柄分析】Abalance(3856)-2022年6月期通期決算発表後-

Abalance 銘柄分析

私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、Abalance(3856)です。Abalanceは、2022年8月15日の引け後に2022年6月期の通期決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、約18.8%と大きく上昇(8/15終値1763円→10/7終値2094円)しています

 

本記事では、Abalanceの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年10月時点のものです。

ここがポイント

  • Abalanceは、主力事業は太陽光パネルの製造。他には太陽光発電の状況をモニタリングするシステムの販売、建設機器の中古品販売やレンタル事業、IT事業も実施。
  • ここ数年で業績は急激に伸びてており、2020年6月期から2022年6月期の2年間で売上高は約14倍に急拡大。一方で、営業利益率は急拡大に伴い低下し、ここ2年間で営業利益は4.7倍の増益に。
  • 業績の伸長に伴い、Abalanceが昨年度に発表した2022~2024年度の中期計画をすでに上振れしていることから、2022年9月28日に上方修正を発表。それによると、修正後の計画では2024年6月期の売上高は、2022年6月期の売上高の約1.6倍、営業利益は約2.7倍になる見込み

 

Abalanceとは

最初にAbalanceがどのような会社なのかを簡単に解説します。

会社概要

Abalanceは、主力事業は太陽光パネルの製造。他には太陽光発電の状況をモニタリングするシステムの販売、建設機器の中古品販売やレンタル事業、IT事業を行っています。

  • 設立年:2000年4月
  • 上場年:2007年9月
  • 業種分類:電気機器
  • 決算:6月末日
  • 上場証券取引所:東京証券取引所 スタンダード市場
  • ホームページ:https://www.abalance.jp/

業績の推移

次にAbalanceのここ数年の業績推移を以下に示します。ここ数年で業績は急激に伸びてており、2020年6月期から2022年6月期の2年間で売上高は約14倍に急拡大しました。一方で営業利益については、売上高の急拡大についていけておらず、営業利益率が低下しており、ここ2年間で4.7倍の増益にとどまっています。

Abalance 業績推移

事業概要

Abalanceが創業で実施していたのはIT事業です。その後、建設商社が株式交換による子会社化、その後、太陽電池関連事業会社の設立を行った結果、以下で示すクリーンエネルギー、建設機器、ITの3つの事業を持つことになりました。このうち、現在はクリーンエネルギー事業が主力となっており、特にベトナムで行っている太陽電池パネルの製造が売上高の約9割を占める主力事業となっています。

Abalance 銘柄分析

Abalanceのホームぺージ

中期計画

Abalanceは、昨年度、2022~2024年度の中期計画を提示しましたが、予想以上に業績が伸びていることから今年の9月末に以下のとおり、中期計画を上方修正しました。それによると、修正後の計画では2024年6月期の売上高は、2022年6月期の売上高の約1.6倍、営業利益は約2.7倍になる見込みです。なお、売上高が急伸した理由としては、脱炭素化の流れを受けて世界的な再エネ需要の拡大が見込まれ、ベトナムで行っている太陽電池パネルの売り上げが伸びると予想されるためです。なお、売上高の伸びに適応できるようにベトナムでの太陽電池パネルの生産能力の拡張を行うことを検討しています。

Abalance 中期経営計画

※Abalance「2022年9月28日 中期経営計画の上方修正のお知らせ」より抜粋(P.29)

 

ただし、営業利益率は、修正前の6.1%から3%に下がる見込みです。営業利益質が下がる理由はIRには明確な記載ありませんが、おそらくベトナムでの生産能力向上を前倒しで行うためと推定されます。(人材採用など費用を想定。設備導入することに伴った減価償却も含むかもしれません。)

 

参考までに設備投資がどのくらいが必要になるか試算してみました。以前の中期経営計画では、2021年6月期では2.6GWの太陽光パネルの生産能力を2024年6月期に3.6GWにするとしています。少し古いですが、日本政府の資料(出典:資源エネルギー庁、2020年11月発表:太陽光発電について P26参照)によると、2020年1月時点で太陽光パネルの単価は、約0.2ドル/Wです。つまり、海外売上1380億円を達成するためには1ドル120円換算で6GW以上の販売する必要があることから、最低でも現行の2倍以上となる3.5~4GWの設備容量を増強しなければなりません。

 

以前の中期計画の資料から1GWの設備投資額は1200万ドルとありますので、2024年6月期までに必要となる設備投資額は4200万~4800万ドル(1ドル120円とすれば、50~58億円が必要)となります。

Abalance 設備投資計画

※Abalance「2021年10月 中期経営計画(2022-24)」より抜粋(P.5)

 

銘柄分析

次に銘柄分析を行いましたので、紹介します。

ファンダメンタルズ分析

Abalanceのファンダメンタルは以下のとおりです。

  • 時価総額:349.7億円
  • PER:27.19倍
  • PBR:5.87倍
  • 配当:(2022.6)10円、(2023.6(予))6円
  • 予想配当利回り:0.29%
  • 自己資本率:7.0%
  • 増収率:(2022.6)243.6%、(2023.6(予))19.0%
  • 増益率:(2022.6)19.0%、(2023.6(予))86.1%
  • 営業利益率:(2022.6)1.8%、(2023.6(予))2.6%

※2022年10月7日終値で算出しております。

 

Abalanceと同じく再生可能エネルギーを事業に扱っている上場企業と比較してみました。こうしてみると、Abalanceは売上成長率の割にはPERが低いことがわかります。加えて、ほかの競合と違い、メーカーとして見られているためか売上高の割には時価総額が低めです。

Abalance 競合比較

※2022年10月7日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用

株価分析

以下にAbalanceの2020年1月以降の株価チャート(週足)を示します。以下でもわかるとおり、株価は400円以下に低迷していましたが、2020年10月にプレスリリースした太陽電池パネルの製造会社であるVSUNを連結化したことをきっかけに株価が急騰し、2021年4月には2433円の直近高値を付けました。その後、下落していますが、最近、まだ株価は上昇傾向となっています。

Abalance 週足チャート

株主構成

Abalanceの株主構成は、以下のとおりです。創業者ではありませんが、龍潤生社長が筆頭株主です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています

  1. 龍潤生    186(33.4)
  2. 田中龍平    26 (4.8)
  3. (有)飯塚フューチャーデザイン    21 (3.8)
  4. 日野豊    16 (2.8)
  5. BNYメロンGCMクライアントM・ILMFE    14 (2.5

 

10倍株探索条件の可否まとめ

Abalanceは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、オーナー経営者かつ上位株主のみ、満足していますが、そのほかの4つの条件は満足していません

  • 増収率(20%以上):×
  • 営業利益率(10%以上):×
  • 時価総額(200億円未満):×
  • 上場から5年以内:×
  • オーナー経営者かつ上位株主:〇

 

まとめ

ここまで、Abalanceの銘柄分析を行ってきました。Abalanceは脱炭素化の流れに乗じて太陽電池パネルの生産を一気に増やすことで業績拡大を狙っている会社です。特にここ2年の成長は目覚ましいものがあります。今後もその潮流に乗って、事業を拡大していく計画を立てています。

 

しかし、中国が持つ従来型太陽電池の生産能力はすでに過剰となっていることは広く知られており、加えてすでに太陽電池は汎用品となっていて技術革新は起こりにくく、同社は単純なコスト競争に挑むことになります(※日本政府は次世代太陽電池の開発を促進していますが、性能面及びコスト面の両面から考えて10年以内に置き換わることはないと私は思っています)。その状況下でも同社がこれから大きく投資をしても勝てる算段をどのように付けているかについて、詳しく知りたいと感じました。

 

【注意事項】

最後に注意事項です。

 

どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。

 

上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。

 

この記事が面白かったら、以下のボタンをぽちっと押してください。

にほんブログ村 株ブログへ
にほんブログ村