私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、ティアンドエス(4055)です。ティアンドエスは、2022年10月14日の引け後に2022年8月期第3四半期の決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、約15%と大きく下落(10/14終値1416円→10/20終値1201円)しています
本記事では、ティアンドエスの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年10月時点のものです。
ここがポイント
- ティアンドエスは、いわゆるシステムインテグレーターで、製造業の生産管理システムが強み。
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業績は一時期伸び悩んでいましたが、ここ2年は伸びてており、2020年11月期から2022年11月期の2年間で売上高は約1.36倍に拡大する計画。営業利益率に関しては、毎年向上し続けており、2019年11月期以降は安定して二桁を記録。
- 2022年8月期の第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は75.4%、経常利益の進捗率は77.5%。前年同時期の進捗率とほぼ同じ水準。
ティアンドエスとは
最初にティアンドエスがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
ティアンドエスは、いわゆるシステムインテグレーターで、製造業の生産管理システムが強み。近年は、半導体工場の保守・運用やキクオシア向けの大型案件を受注。新規事業として、AI関連を育成中。
- 設立年:2016年9月
- 上場年:2020年8月
- 業種分類:情報通信
- 決算:11月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.tecsvc.co.jp/
業績の推移
次にティアンドエスのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は一時期伸び悩んでいましたが、ここ2年は伸びてており、2020年11月期から2022年11月期の2年間で売上高は約1.36倍に拡大する計画です。営業利益に関しては、2019年11月期以降は安定して二桁の営業利益率を記録しており、加えて年々、向上しています。
事業概要
ティアンドエスが行っている事業は大きく分けて、次の3つのカテゴリーに分けられます。
- ソリューションカテゴリー
- 半導体カテゴリー
- 先進技術カテゴリー
まず、最初のソリューションカテゴリーは、さまざまな産業領域のソフトウェアの開発を受託して行っています。次に半導体カテゴリーは、NANDフラッシュメモリを製造する工場のシステム運用及び保守サービスを提供しています。このカテゴリーでは、東芝から分離したキクオシアが主要顧客です。最後に掲げた先進技術ソリューションは、AIアルゴニズムの研究開発支援やAIソフトウェアの受託開発支援を行っており、現在、育成中のテーマとなります。
なお、各カテゴリーの売上高の比率は、2020年11月期のデータを用いると以下のとおりとなっており、主力カテゴリーのソリューションビジネスが8割近くを占めています。
※ティアンドエス「2021年7月 事業計画及び成長可能性に関する事項」より抜粋(P.23)
2022年8月期第3四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年10月14日に発表されたティアンドエスの2022年8月期の第3四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年8月期の第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は75.4%、経常利益の進捗率は77.5%でした。前年同時期の進捗率は、売上高は72.3%、経常利益の進捗率は67.8%でしたので、進捗は良好です。ソリューションカテゴリー(3Q売上高1725百万円)が前年比13.6%増、半導体カテゴリー(3Q売上高433百万円)が前年比25.4%増、先進技術(3Q売上高180百万円)が前年比61.1%増といずれのカテゴリーも増収で好調でした。そのため、四半期ベースでは、過去最高の収益を記録しています。
※ティアンドエス「2022年8月期第3四半期決算説明資料」より抜粋(P.12)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
ティアンドエスのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:91.67億円
- PER:23.28倍
- PBR:5.68倍
- 配当:(2021.11)8円、(2022.11(予))5円
- 予想配当利回り:0.42%
- 自己資本率:77.3%
- 増収率:(2021.11)20.6%、(2022.11(予))13.5%
- 増益率:(2021.11)37.8%、(2022.11(予))32.9%
- 営業利益率:(2021.11)15.1%、(2022.11(予))17.7%
※2022年10月20日終値で算出しております。
ティアンドエスと同じく、大手企業向けが多いシステムインテグレーターの上場企業と比較してみました。比較した企業の中では、ティアンドエスは売上高の面では他の3社と比べて小さいですが、時価総額の面ではそこまで差はありません。ただし、PERは今後の成長の期待を込めて、高い水準にあります。
※2022年10月20日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にティアンドエスの上場以来の株価チャート(週足)を示します。公募価格は2800円で、上場した頃に付けた7315円(2020年8月末)が上場来最高値です。それ以来、株価は断続的に下落し続けており、公募価格も2020年12月以降はしばしば割るようになり、2021年以降は一度も上回ることができていません。ここ3か月は1200~1700円を上下移動しています。
株主構成
ティアンドエスの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもあり社長でもある武川義浩氏が筆頭株主です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 武川義浩 262(34.3)
- 日下理 65 (8.5)
- 渡辺照男 62 (8.2)
- 遠藤玲 38 (5.0)
- 日下寛之 31 (4.1)
10倍株探索条件の可否まとめ
ティアンドエスは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、増収率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):×
- 営業利益率(10%以上):○
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:○
- オーナー経営者かつ上位株主:○
まとめ
ここまで、ティアンドエスの銘柄分析を行ってきました。同社は、大手企業向けのシステムやソフトウェア開発を手掛けており、安定して収益を挙げています。特に近年は、キクオシア向けが増加しており、今後もキクオシアの大型投資が控えているので、伸長が期待されます。また、新事業も育てようとしており、こちらも期待できます。
一方で、旧来型のシステム開発が主力サービスとなっているため、今の流行であるクラウド型システムへの移行により取り残さていかないか気になりました。(資料内で書いていないだけで、そのあたりも手がているのかもしれませんが。)
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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