私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、2022年8月に上場したばかりのクラシコム(7110)です。クラシコムは、2022年9月14日の引け後に2022年7月期の通期決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、約21.8%と大きく下落(9/14終値1349円→11/1終値1055円)しています。
本記事では、クラシコムの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年11月時点のものです。
ここがポイント
- クラシコムの主力事業は、ECサイト『北欧、暮らしの道具店』で雑貨・服飾品を販売。
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業績は着実に伸びており、2020年7月期から2022年7月期の2年間で売上高は約1.5倍に拡大。営業利益は小売業の割には安定しており、直近3年間は10%超え。
- 2022年7月期通期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は100.3%、経常利益の進捗率は101.9%とほぼ会社予想どおり。
- 来期も増収総益を見込んでおり、売上高は今期から12.4~17.1%の増収、経常利益は2.3~6.6%の増益と予想。
クラシコムとは
最初にクラシコムがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
クラシコムは、ECサイト『北欧、暮らしの道具店』で北欧カルチャーに共感できるようなオリジナルブランドとして、雑貨・服飾品を販売。近年は、ブランドで扱う品種を増やしている。集客は、SNS配信など多くの宣伝チャンネルを使い、実施していることが特徴。
- 設立年:2006年9月
- 上場年:2022年8月
- 業種分類:小売
- 決算:7月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://kurashi.com/
業績の推移
次にクラシコムのここ数年の業績推移を以下に示します。業績は着実に伸びており、2020年7月期から2022年7月期の2年間で売上高は約1.5倍に拡大しました。営業利益は小売業の割には安定しており、確認できる決算資料内では常に10%を超えています。
事業概要
クラシコムは、「北欧の暮らし」をキーワードとして、インテリアやD2C事業とブランドソリューション事業の二つが主力です。これに加えて、映画やドラマ、ラジオなどの製作を行うコンテンツパブリッシャー事業を実施しています。
※クラシコム「2022年8月 事業計画及び成長可能性に関する資料」より抜粋(P.11)
2023年7月期通期決算資料を読み解く
それでは、2022年9月14日に発表されたクラシコムの2022年7月期通期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年7月期通期決算は、会社予想に対して売上高の達成率は100.3%、経常利益の進捗率は101.9%とほぼ会社予想どおりとなりました。前年度同時期は上場前のために会社予想を公表していません。なお、今年も含めて、16期連続で増収増益となりました。
※クラシコム「2022年7月期通期決算説明資料」より抜粋(P.6)
以下にクラシコムの四半期売上高の推移(今年度分のみ)を示します。いずれの四半期も前年度同時期と比べて売上高は増加していますが、四半期ごとで見るとほとんど成長していません。クラシコムが言うには、下期の伸びが小さいのは上海ロックダウンの影響とあります。なお、ロックダウンの影響はモノが仕入れることができなかったのか、中国の売り上げが落ちたのか、どちらなのかがわかりませんでした。(海外で販売しているとはなかったので、多分前者だとは思いますが、明記してほしいものです。)
※クラシコム「2022年7月期通期決算説明資料」より抜粋(P.8)
次にクラシコムが重要視している3つの指標に関して、年度別の推移を示します。エンゲージメントアカウント数や累計会員数は順調に伸びていますが、今年度はコロナ禍の巣ごもり需要がひと段落付いたことから年間購入者数は伸び悩みんでいます。クラシコムは来期以降は順調に伸びると予測していますが、実際の数値は来期以降、注視していくべきと感じます。
※クラシコム「2022年7月期通期決算説明資料」より抜粋(P.1)
来期業績予想
クラシコムは、通期決算発表と当時に来期(2023年7月期)の業績予想を発表しています。クラシコムによると来期も増収総益を見込んでおり、売上高は今期から12.4~17.1%の増収、経常利益は2.3~6.6%の増益と予想しています。利益の上昇幅が低いのは、仕入れコストの上昇などの環境変化のリスクを含んでいるためです。
※クラシコム「2022年7月期通期決算説明資料」より抜粋(P.19)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
クラシコムのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:75.33億円
- PER:10.88倍
- PBR:2.83倍
- 配当:(2022.7)0円、(2023.7(予))-円
- 予想配当利回り:-%
- 自己資本率:74.6%
- 増収率:(2022.7)13.9%、(2023.7(予))12.4%
- 増益率:(2022.7)6.6%、(2023.7(予))2.4%
- 営業利益率:(2022.7)16.3%、(2023.7(予))14.9%
※2022年11月1日終値で算出しております。
クラシコムと同じくECサイト運営を行っている上場企業と比較してみました。ECサイト運営している企業については、前年度はどこも逆風になっており、半数は減収となっています。PERについては、クラシコムのみ11倍前後と東証上場企業平均と比べても割安水準にあります。
※2022年11月1日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にクラシコムの上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は1420円で、上場して1か月もたたないうちに公募価格割れとなっています。現状、上場債来安値は977円で、現在はその底値付近を抵抗線とした値動きをしています。
株主構成
クラシコムの株主構成は、以下のとおりです。共同創業者で社長でもある青木耕平氏が筆頭株主です。なお、第2位株主の佐藤友子氏も共同創業者であり、現在も経営に携わっています(ちなみに社長の妹だそうです)。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 青木耕平 483(71.9)
- 佐藤友子 128(19.0)
- 自社(自己株口) 32 (4.7)
- 青木祐一郎 28 (4.2)
10倍株探索条件の可否まとめ
クラシコムは、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、増収率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):×
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:○
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、クラシコムの銘柄分析を行ってきました。上場時はインテリアや家具を販売していることから、「第2のニトリ」との触れ込みで注目されていましたが、今回、改めて読んでみて業種は似ているものの、ニトリをほうふつされるようなビジネスモデルだとは感じませんでした。
ただ、小売業としては着実に成長を重ねており、16期連続増収増益であることはまさに「第2のニトリ」とも言えます。すぐに大きく株価が跳ね上がることはないですが、ビジネスモデルが陳腐化しない限り着実に成長続けてくれそうな気がします。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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