私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、ポーターズ(5126)です。ポーターズは、2022年11月8日の引け後に2022年12月期第3四半期の決算発表を行いました。ちなみに、決算発表後、株価は26.6%と大きく下落(11/8終値2325円→12/21終値1706円)しています。
本記事では、ポーターズの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2022年12月時点のものです。
ここがポイント
- ポーターズは、人材派遣業及び人材紹介業向けに業務プロセスを可視化するクラウド型マッチング総合管理システムを提供。
- グロース株という観点から見ると、業績は近年、足踏み状態。ただし、今年度は二桁成長を計画。営業利益率はここ3年、改善しており、今年度は25.7%となる見込み。
- 2022年12月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は75.6%、経常利益の進捗率は74.8%。前年度と比べて、利益面の進捗率は低いものの順調といえる。
ポーターズとは
最初にポーターズがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
ポーターズは、人材派遣業及び人材紹介業向けに業務プロセスを可視化するクラウド型マッチング総合管理システムを提供しています。ストック売上高9割。
- 設立年:2002年3月
- 上場年:2022年9月
- 業種分類:情報通信
- 決算:12月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.porters.jp/
業績の推移
次にポーターズのここ数年の業績推移を以下に示します。グロース株という観点から見ると、業績は近年、足踏みが続いている状態で、2019年12月期から2021年12月期の2年間で売上高はわずかに8.6%しか伸長していません。営業利益率はここ3年、改善しており、2020年12月期で14.7%だったものが、今年度は25.7%となる見込みです。
事業概要
ポーターズが行う事業は、人材派遣会社や有料職業紹介会社に対して、提供する業務管理SaaSです。これを顧客に提供し、ユーザーIDごとに月別使用料を徴収する仕組みです。そのため、収益はストック型が9割以上を占めており、ユーザー数を増やすことが成長につながっていきます。
※ポーターズ「2022年12月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.17)
2022年12月期第3四半期決算資料を読み解く
それでは、2022年11月8日に発表されたポーターズの2022年12月期第3四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年12月期第3四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は74.3%、経常利益の進捗率は84.2%でした。前年同時期は決算を発表していませんが、資料内にある比較データから算出した進捗率では、売上高が73.7%、経常利益が78.7%でしたので、順調に推移していると言えます。
※ポーターズ「2022年12月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.7)
次にストック売上高に寄与率が高いID数の四半期ごとの推移について、以下に示します。ID数は2020年9月を底に右肩上がりで増えており、この四半期で257(+2.5%)増えました。会社計画では、10232IDとなる予定が10590IDとなっていることから上振れしています。
なお、その前は半期で+396でしたので、増加量は多くなっていますが、大手ユーザーのIDが減少することを織り込んでいたのにずれ込んだためとあります。来期は減る可能性があるということでしょうか??
※ポーターズ「2022年12月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.9)
最後にポーターズが示したARRU(1ID当たりの平均月別収益)を以下に示します。今四半期の計画値は10290円としていましたが、それを下回り、9868円となっています。これは、先ほども言及しましたが、大手ユーザーのID登録数の減少が後ろ倒しになった影響とのことです(1企業当たりのID数は数が増えると、月額利用料を割安にする契約になっているため、大手ユーザーのID数は減ったほうがARRUが増える。)
※ポーターズ「2022年12月期第3四半期 決算説明資料」より抜粋(P.12)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
ポーターズのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:26.6億円
- PER:12.17倍
- PBR:3.70倍
- 配当:(2021.12)0円、(2022.12(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:70.9%
- 増収率:(2021.12)7.6%、(2022.12(予))14.5%
- 増益率:(2021.12)53.3%、(2022.12(予))32.2%
- 営業利益率:(2021.12)20.2%、(2022.12(予))25.7%
※2022年12月21日終値で算出しております。
四季報でポーターズの競合とされている上場企業と比較してみました。PERを比較してみると、ポーターズは12.2倍と競合よりも低く、市場平均以下で割安です。これは、売上高は競合よりも低い割には成長率は小さいことが原因とみられます。
※2022年12月21日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にポーターズの上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は1570円で、上場初日に3460円の上場以来最高値を付けました。その後、下落トレンドとなり、現在、公募価格付近まで下がっていますが、トレンド転換の兆しは見えていません。
株主構成
ポーターズの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある西森康二社長が上位株主です。また、筆頭株主であるKAキャピタルは西森康二氏の資産管理会社です。このことら、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- KAキャピタル(株) 75(50.0)
- 西森康二 37(25.0)
- 御子柴智美 37(25.0)
※上記は上場前に提出された株式名簿であり、一部は上場により市場に流通していることから、現在は、変動しています。
10倍株探索条件の可否まとめ
ポーターズは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、増収率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):×
- 営業利益率(10%以上):〇
- 時価総額(200億円未満):〇
- 上場から5年以内:〇
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、ポーターズの銘柄分析を行ってきました。昨年度まで成長は停滞気味江下が、今年度は増収総益の計画です。また、進捗は良好で、営業利益率も25.7%と高く、業績は順調に推移しています。
一方で、人材派遣会社に絞った業務SaaSを提供していますが、ターゲット市場がニッチですし、他の企業が入りにくいシステムを提供しているわけでもなさそうです。加えて、何かしらの商品開発をしているとの記載がないので、今後の事業の展開がどうしていくのかが見えていきません。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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