私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、ビジネスコーチ(9562)です。ビジネスコーチは、2022年11月10日の引け後に2022年9月期通期の決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、-24.7%と大きく下落(11/10終値2308円→1/19終値1740円)しています。
本記事では、ビジネスコーチの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2023年1月時点のものです。
ここがポイント
- ビジネスコーチは、トップマネジメントからビジネスパーソンまでを対象としている「ビジネスコーチング」を中心とした人材開発に関するサービスを提供。
- 売上高は着実に伸びており、2020年9月期から2022年9月期の2年間で売上高は約1.7倍に拡大。営業利益率は20%前後で安定。
- 2022年9月期通期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は101.6%、経常利益の進捗率は113.5%で着地。
- 2023年9月期は増収(売上高:+18.5%)減益(経常利益:-4.4%)の予想。人件費の増加及び上場費用が重しに。なお、期末残高ですでに来期分の30%は確保。
- 上位株主のロックアップは2023年4月18日まで。
ビジネスコーチとは
最初にビジネスコーチがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
ビジネスコーチは、トップマネジメントからビジネスパーソンまでを対象として、コーチとの対話を通じて“気づき”と“行動変容”を提供する「ビジネスコーチング」を中心とした人材開発事業を展開。
- 設立年:2005年4月
- 上場年:2022年10月
- 業種分類:サービス
- 決算:9月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.businesscoach.co.jp/
業績の推移
次にビジネスコーチのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びており、2020年9月期から2022年9月期の2年間で売上高は約1.7倍に拡大しました。営業利益率は20%前後で安定しています。
事業概要
ビジネスコーチは、経営層や一般社員に対して、同社が提唱する理論に基づいた人材開発サービスを提供しており、1対1と1対n型の二つに分けられます。大企業出身のコーチが多く所属し、特有の課題解決に強みを持っています。
※ビジネスコーチ「2022年9月期通期決算説明資料」より抜粋(P.5)
2022年9月期通期決算資料を読み解く
それでは、2022年11月10日に発表されたビジネスコーチの2022年9月期通期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年9月期通期決算は、1:n型ビジネスも1:1型ビジネスも堅調に成長した結果、会社予想に対して売上高の進捗率は101.6%、経常利益の進捗率は113.5%でした。特にビジネスコーチが注力分野としている1:1型ビジネスは23.1%と高い伸びを示しています。
※ビジネスコーチ「2022年9月期通期決算説明資料」より抜粋(P.11)
以下にビジネスコーチが設定するKPIの各年度の推移を示します。売り上げに直結するコーチ陣は順調に増やせており、2022年9月期の堅調な業績につながっています。また、注力している1:1型コーチングの対象者数も同じく順調に伸びています。
※ビジネスコーチ「2022年9月期通期決算説明資料」より抜粋(P.12)
来期(2023年9月期)の会社予想
ビジネスコーチは、2022年9月期通期決算発表時に、来期(2023年9月期)の会社予想を発表しています。それによると、来期は増収減益の予想となっており、売上高は+18.5%の増収、経常利益は-4.4%の減収となっています。減収理由は人件費の増加及び上場費用の負担があるためとのことです。なお、期末残高ですでに来期分の30%は確保している点は明るい材料です。
※ビジネスコーチ「2022年9月期通期決算説明資料」より抜粋(P.16)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
ビジネスコーチのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:19.21億円
- PER:10.59倍
- PBR:3.97倍
- 配当:(2022.9)50円、(2023.9(予))50円
- 予想配当利回り:3.0%
- 自己資本率:56.5%
- 増収率:(2022.9)14.7%、(2023.9(予))18.6%
- 増益率:(2022.9)6.1%、(2023.9(予))-4.5%
- 営業利益率:(2022.9)21.4%、(2023.9(予))17.3%
※2023年1月18日終値で算出しております。
ビジネスコーチと同様に人材教育を主な事業としている上場企業と比較してみました。PERの観点では、リンクアンドモチベーションを除き、PERは15倍未満となっており、東証の平均から見ると割安水準にあります。売上高成長率に関しても、好調な企業と不調な企業の両極端となっており、ビジネスコーチはどちらにも該当しない位置にあり、緩やかな成長をしていることがわかります。
※2023年1月18日時点の終値にて、比較。SBI証券のサイトを利用
株価分析
以下にビジネスコーチの上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は2070円で、上場初日につけた4245円が上場来最高値で、その後、下落傾向にあり、公募価格も割れて現在は1700円近辺を推移しています。
株主構成
ビジネスコーチの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある細川馨社長が上位株主です。また、筆頭株主の「(有)コーチ・エフ」も細川馨氏の資産管理会社です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- (有)コーチ・エフ 44(45.6)
- 細川馨 15(15.4)
- 橋場剛 8 (9.0)
- 田中広道 3 (3.0)
- 諸橋奈々 2 (2.2)
なお、上場時に上位株主に対して、期間によるロックアップがかかっており、これらの株主が売買可能となるのは2023年4月19日以降となります。
10倍株探索条件の可否まとめ
ビジネスコーチは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、増収率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):×
- 営業利益率(10%以上):○
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:○
- オーナー経営者かつ上位株主:〇
まとめ
ここまで、ビジネスコーチの銘柄分析を行ってきました。ビジネスコーチは人材開発を事業としており、堅調に成長を続けています。また、今年度に関してはすでに売上計画の3割が期末残高としてあるとのことです。その一方で、今期は人件費の高騰や一時的な上場費用の計上のため、減益予想となっています。
まだ上場したばかりのために業績予想を保守的に出しているのか、見極められていませんので、次の四半期決算時に見極めていきたいと思います。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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