私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、スマサポ(9342)です。スマサポは、2023年2月9日の引け後に2023年9月期第1四半期の決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、22.5%と大きく下落(2/9終値1944円→2/17終値1506円)しています。
本記事では、スマサポの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2023年2月時点のものです。
ここがポイント
- スマサポは、不動産管理会社向けの複数ソリューション提供と入居者アプリの運営を実施。不動産管理業務の効率化を収益源に。
-
業績はコロナ禍で停滞していたものの、2023年9月期は前年度から42.4%売上高を拡大する計画。それに伴い、営業利益も3.7%から6.5%に改善する見込み。
- 2023年9月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は15.2%、経常利益は赤字で、前年度同時期の決算数値の開示はないために比較不可。
スマサポとは
最初にスマサポがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
スマサポは、不動産管理会社が行う賃貸物件の管理を代行する事業を行っています。具体的には、入居者に対するライフラインサポートなどの案内を代行する「スマサポサンキューコール」、入居者からの近隣トラブルの相談などをアプリ上のやり取りで代行する「totono」を運営しています。
- 設立年:2012年4月
- 上場年:2022年12月
- 業種分類:サービス
- 決算:9月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://www.sumasapo.co.jp/
業績の推移
次にスマサポのここ数年の業績推移を以下に示します。業績はコロナ禍の影響で一時期伸び悩んでいましたが、2023年9月期は前年度から一気に42.4%売上高を伸ばす計画を立てています。営業利益も上下動していますが、2022年9月期に黒字転換した後、今期はさらに改善する計画となっています。
事業概要
以下にスマサポが行っているビジネスモデル像を示します。スマサポは、不動産管理会社と入居者間のコミュニケーションを取り持ち、双方が抱える課題を解決していくことで収益を上げることを目指しています。具体的には、不動産管理会社にとって、管理する手間の割には利益が上がらない薄利多売となっている点に着目し、スマサポはテクノロジーを用いて効率化を図ることで、他社との差別化を行う方針です。
※スマサポ「2023年9月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.6)
具体的なサービスは次の二つです。
- サンキューコール
- totono(入居者⇔管理会社間のコミュニケーション用アプリの提供)
まず一つ目のサンキューコールは、不動産管理会社の代わりに入居者の新生活のサポートを行うべく、電話による部屋の住み心地や不具合の有無の確認などを代行するサービスです。このサービスは入居者も不動産管理会社からも費用を受け取らず、ウォーターサーバーや新電力の切り替えなどの顧客紹介料で稼ぐビジネスです。
ようは、不動産管理会社から入居者サポートを「無料」で委託される代わりに顧客情報を入手し、その情報をもとに多々のサービスを入居者に売り込むことで収益を上げるビジネスモデルです。
※スマサポ「2023年9月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.12)
二つ目のtotonoです。totonoは入居者にアプリを入れてもらい、そのアプリ上で不動産に関するクレームの相談や入居する賃貸物件に関する工事などの情報の共有などのサービスが利用可能です。収益は、管理を委託する不動産管理会社から月額利用料を受け取ることで挙げています。また、totonoでも提供サービスの紹介をアプリ上で行っており、アプリを通して入居者がサービスを利用することになった場合、紹介料の形で手数料を受け取れます。
※スマサポ「2023年9月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.14)
2023年9月期第1四半期決算資料を読み解く
それでは、2023年2月9日に発表されたスマサポの2023年9月期第1四半期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2023年9月期第1四半期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は15.2%、経常利益は赤字で、前年度同時期の決算数値の開示はないために比較はできません。会社のコメントは、不動産ソリューション事業において、第1四半期としては過去最高の売り上げを記録したとのことです。(「会社として」と述べていないので、昨年度以前にもっと売り上げが高かった年度があるように推察されます。)なお、今年度から新電力は完全に撤退していますので、その分、下がったということでしょうか。
※スマサポ「第12期第1四半期報告書」より抜粋
以下にスマサポが行っている「サンキューコール」に関するKPIの年度ごとの推移について、示します。契約した不動産管理会社数は微増となっていますが、時期的なものもあるかもしれませんので、可否の判断はできないです。一方で、入居者数のコンタクト数は1Qとしては、過去最高を記録したとあるので、順調な滑り出しとなっているようです。
※スマサポ「2023年9月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.17)
入居者に対する窓口代行として、利用する「totona」に関するKPIを以下に示します。totonaを契約する不動産管理会社数は、昨年度末から5社増加しています。また、入居者がダウンロードする数は昨年度末から+136%飛躍的に増加しており、順調に利用が増えていることが伺えます。
※スマサポ「2023年9月期第1四半期決算説明資料」より抜粋(P.18)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
スマサポのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:36.22億円
- PER:23.84倍
- PBR:8.29倍
- 配当:(2022.9)0円、(2023.9(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:60.4%
- 増収率:(2022.9)0.6%、(2023.9(予))42.4%
- 増益率:(2022.9)黒字転換、(2023.9(予))137.2%
- 営業利益率:(2022.9)3.7%、(2023.9(予))6.5%
※2023年2月17日終値で算出しております。
株価分析
以下にスマサポの上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は800円で、上場直後に上場来最高値となる3195円を付けた後、下落しつづけています。決算の結果を受けてさらに一段階下落して、2/16に上場来最安値となる1450円を付けました。
株主構成
スマサポの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある太田卓利社長が上位株主です。また、筆頭株主の「CABO DA ROCA」は太田氏の資産管理会社です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- CABO DA ROCA 79.0万株(35.7%)
- 太田卓利 58.33万株(26.3%)
- 大東建託パートナーズ 14.0万株(6.33%)
- HamaginDGInnovation投資事業有限責任組合 11.67万株(5.28%)
- DGベンチャーズ 7.0万株(3.2%)
10倍株探索条件の可否まとめ
スマサポは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):○
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:○
- オーナー経営者かつ上位株主:○
まとめ
ここまで、スマサポの銘柄分析を行ってきました。今後、不動産管理会社が人海戦術で行っている賃貸物件の管理が人手不足により、行えなくなることを見越して提供するサービスで面白いと思います。また、ビジネスモデルもしっかり考えられているなと感じました。
ただし、提供サービスの紹介料に頼っている部分が多く、その分、提供サービスの勧誘がうっとおしいと入居者の不満が高くなり、結果、利用者が減少するリスクがないのかが気になります。(上記の心配した状況のコメントはなかったですが、現状のtotonoアプリの評判はあまり好ましくなく、★2.3でした。。。)
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
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