私がほっこり紹介する「10倍株の銘柄候補」は、POPER(5134)です。POPERは、2022年12月12日の引け後に2022年10月期の通期決算を発表しました。ちなみに、決算発表後の株価は、ほとんど変動していません(12/12終値733円→2/20終値729円)。
本記事では、POPERの概要の紹介と決算資料のポイント、銘柄分析について、解説していきます。なお、各所に用いた数値は2023年2月時点のものです。
ここがポイント
- POPERは、教育事業者向けのSaaS型業務管理プラットフォーム『Comiru』の開発・提供により収益を上げている。
-
売上高は着実に伸びており、2020年10月期から2022年10月期の2年間で売上高は約2.5倍に急拡大。営業利益は、赤字が続いており、今期黒字化する計画。
- 2022年10月期の通期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は100.8%、経常利益は赤字でほぼ会社計画値通りの着地。
-
2023年10月期は、前年度から売上高は35.8%増収、経常利益は黒字転換の見込み。
POPERとは
最初にPOPERがどのような会社なのかを簡単に解説します。
会社概要
POPERは、教育事業者向けに業務効率化および保護者とのコミュニケーションツールとなるSaaS型業務管理プラットフォーム『Comiru』の開発・提供を行っています。
- 設立年:2015年1月
- 上場年:2022年11月
- 業種分類:情報通信
- 決算:10月末日
- 上場証券取引所:東京証券取引所 グロース市場
- ホームページ:https://poper.co/
業績の推移
次にPOPERのここ数年の業績推移を以下に示します。売上高は着実に伸びており、2020年10月期から2022年10月期の2年間で売上高は約2.5倍に急拡大しました。ただし、営業利益は、赤字が続いており、今期黒字化する計画です。
事業概要
POPERは、教育機関向けに以下の3つのサービスを提供しています。
- Comiru(コミュニケーション&業務管理プラットフォーム)
- ComiruAir(オンライン授業構築システム)
- ComiruHR(人事労務管理システム)
※POPER「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.11)
このうち、売上高のうち95%を占めるのは、コミュニケーション&業務管理プラットフォーム「Comiru」です。Comiruの主な機能の一部を以下で示します。まず、業務管理を効率化するためのものとして、保護者とのコミュニケーションをやりやすくする機能や学習進捗管理機能が挙げられます。他にも教員への給料支払いを楽にする機能などがついています。
なお、これらの機能はランク付けされており、支払う料金によって使える範囲が変わってきます。
※POPER「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.13,14)
2022年10月期通期決算資料を読み解く
それでは、2022年12月12日に発表されたPOPERの2022年10月期の通期決算について、読み解いていきましょう。
会社予想に対する進捗率
2022年10月期の通期決算は、会社予想に対して売上高の進捗率は100.8%、経常利益は赤字でほぼ会社計画値通りの着地となりました。今期は前期から販管費をほとんど増やさずに売上高を増やせたことから、赤字幅は大きく縮小しています。なお、当期純利益は繰り延べ税金資産の計上などにより黒字転換しています。
※POPER「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.25)
以下にPOPERの業績を占うKPIについて、年度ごとの推移を示しました。まず、顧客数に関する指標に関して、有料契約企業数は前年度から+18.4%増加し、利用生徒ID数は約1.5倍と急伸しています。また、利用生徒ID数の増加などに伴い、APPU(契約企業1社あたりの平均月額利用代金)は前年度から19%増えており、堅調な成長を遂げています。
※POPER「2022年11月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.27、28)
来期(2023年10月期)の会社計画
POPERは、2022年10月期の通期計画の発表とともに来期の会社計画を発表しています。それによると、2023年10月期は、前年度から売上高は35.8%増収、経常利益は黒字転換の見込みとなっています。なお、今後、日本では教育ICTが進むことが予想されるので、それに備えて2023年10月期は営業やCSにかかわる人員を補強するために販管費を+23%増やす計画となっていますが、それでも売上高が伸びる分、黒字転換が達成できると見込んでいます。
※POPER「2022年10月期 通期決算説明資料」より抜粋(P.35)
銘柄分析
最後に銘柄分析を行いましたので、紹介します。
ファンダメンタルズ分析
POPERのファンダメンタルは以下のとおりです。
- 時価総額:28.13億円
- PER:46.61倍
- PBR:6.44倍
- 配当:(2022.10)0円、(2023.10(予))0円
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本率:56.6%
- 増収率:(2022.10)50.5%、(2023.10(予))35.8%
- 増益率:(2022.10)赤字継続、(2023.10(予))黒字転換
- 営業利益率:(2022.10)-3.0%、(2023.10(予))8.0%
※2023年2月20日終値で算出しております。
株価分析
以下にPOPERの上場以来の株価チャート(日足)を示します。公募価格は700円で、上場初日に上場来最高値となる1227円を付けた後、下落していき、一時は公募価格割れとなっていました。現在は公募価格付近まで戻しています。
株主構成
POPERの株主構成は、以下のとおりです。創業者でもある栗原慎吾社長が筆頭株主です。このことから、私が10倍株の探索条件の一つとして挙げている「オーナー経営者かつ上位株主」の条件には合致しています。
- 栗原慎吾 117(32.8)
- 学校法人駿河台学園 46(12.9)
- 大和ベンチャー1号投資事業組合 45(12.5)
- KVPシード・イノベーション1号投資事業組合 23 (6.4)
- 繆仁軍 17 (4.9)
10倍株探索条件の可否まとめ
POPERは、調べた結果、以下で掲げている私の10倍株の探索条件のうち、営業利益率を除いた4つの条件を満足しています。
- 増収率(20%以上):○
- 営業利益率(10%以上):×
- 時価総額(200億円未満):○
- 上場から5年以内:○
- オーナー経営者かつ上位株主:○
まとめ
ここまで、POPERの銘柄分析を行ってきました。POPERは教育機関に特化した業務効率化SaaSを提供しています。日本では、遅れている教育ICTを挽回すべく、GIGAスクール構造などで教育分野へのIT投資が増えていくことが予想されており、事業の成長が期待できる銘柄だと思います。
上場までは先行投資がかさんで赤字で苦しんでいましたが、今年度から売上高に対する販管費が適正な水準になってきたことから、経常利益が黒字化する見込みです。ただ、本当に黒字化するかどうかを今後の四半期決算で見極めていく必要があるでしょう。
【注意事項】
最後に注意事項です。
どのような投資するかについては、あくまでご自身の責任に基いた判断のうえ、実施してください。
上記で記載した内容は、収集した情報や分析データに基づき、筆者個人の見解をまとめたものです。したがって、すべてが正確な情報であるとは保証できません。また、収集した情報やデータに関しても、投稿時点のものなので、すでに古い情報になっている可能性がありますので、ご注意願います。
この記事が面白かったら、以下のボタンをぽちっと押してください。